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67.薬が効かない結核が地球規模でまん延
   11-1-97.

 その1.薬剤耐性結核が急速に拡大

  つい最近の新聞に“薬効かない結核 まん延 WHO 「地球規模の脅威に」”という見出しの大変恐ろしい記事がありました。お読みになった方も多いかと思いますが、現在世界のアチラコチラで色々な微生物による病気が大流行していますので、この結核に関する新聞記事の内容を解説したいと思います。

 新聞には次のような内容が報道されていました。

 ほとんどの抗生物質が効かないため、治療のしようがない多剤耐性結核が、世界中に広がっていることが世界保健機構(WHO)などの調査で分かり、WHOは10月22日「地球規模の脅威になりつつある」と警告した。世界35カ国で計5万人の結核患者を調べたところ、三分の一の国で、多剤耐性結核が見つかった。世界全体の2−14%に有効な治療法がないことになる。多剤耐性結核菌の割合が多かったのは、インド、ロシア、ラトビア、エストニア、アルゼンチンなど。WHOは「適切な治療を受けている患者は10人に1人の割合にすぎないため、この種の結核が急速に広がる恐れがある」と懸念している。

 通常の結核は、4種類の薬を6−8カ月間服用すれば治るが、特に途上国では、治療費の問題などから途中で薬を飲むのをやめてしまう患者が多く、それが耐性菌を増やす原因になっているといわれる。

 この記事を読んで、少し年を重ねている人では、「また恐ろしい結核が増えだしたか」と危惧の念を持たれたかと思います。しかし、若い日本人は、結核の恐ろしさを知らないので、この記事にもあまり注目しなかったのではないかと思います。

 長い月日が経過すると伝染病全ての恐ろしさも洗い流してしまうようです。それだけ日本は安全なのでしょう。

 その2.日本国内に結核はないのか

  厚生省の保健医務局の中に「エイズ結核感染症課」という課があります。ここでは、日本国内で発生する結核患者の全体を把握しています。そして、毎月その実態を「結核・感染症サーベイランス(結核月報)」と言う形で公表しています。

 その月報をみますと、今でも日本国内で毎月新しい結核患者が3千数百人も登録されていいます。1年間に直すと大凡4万人の患者が新たに発生していることを示しています。結核は決して過去の病気ではないのです。私達の周りにも沢山の患者さんがいるのです。日本は、先進国としては例外的に結核の多い国なのです。

 都道府県・制令指定都市で登録患者数をみると、東京都、大阪府、大阪市が多く、北九州市、仙台市、山梨県が少ない。これを人口比でみると、大阪市、神戸市、和歌山県が多く、北九州市、仙台市、神奈川県が少ない。

 国内の結核患者の90%は、イソニコチン酸ヒドラジドとリファンピシンという抗結核剤で治療されていることも明らかにされています。前に述べた新聞記事に出ているインドやロシアなどのように、多剤耐性結核菌については少なくとも日本では、まださほど問題にはなっていないようです。だからと言って、日本は安心だとは限りません。

 その3.感染症の広がるスピード

  社会構造の変化によって、俗に言う伝染病の広がるスピートは劇的に速くなってきています。

 大昔の伝染病が広がる速さは、ラクダが砂漠を歩く速さにほぼ等しいと言われていました。ラクダのスピートは、正確には判りませんが、多分時速4キロ程度であったのでしょう。

 その後の伝染病の広がる速さは、人口の密集化と交通機関の発達から、猛烈にスピードが上がりました。数十年前までは、大海を航海する外洋汽船と同じ速度で伝染病が広がると考えられていました。そのスピートは、時速20キロ程度と考えられます。最近はその速度は更に上がり、国際線を飛んでいるジェットと同じだと言われます。時速数百キロになったのです。

 このような社会環境に住んでいると、インドの状況はインドのみの問題では無くなります。明日には日本にも入ってくる可能性があります。日本は世界的にも希に見る安全・平和な国になりましたので、ワクチンなどの予防対策を軽んじる風潮があります。ツベルクリン陰性の人が、薬剤耐性結核菌の感染を受けると大変に危険です。

結核の予防法としては、ツベルクリンが陰性である人は、BCGビーシージー(結核菌を用いた生ワクチン)を接種して免疫になり、ツベルクリン陽性になっておくことが必要です。他人より貴方個人の問題です。

 色々な伝染病に対する免疫抗体を持たない多くの日本人が世界中飛び歩いているので、日本人による伝染病の世界各国への運搬が世界的に批判されています。「39番の日本はハシカの輸出大国」を読んで下さい。ワクチンの接種は、個人の問題から外国の人達を助けることにもつながります。

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