▲▲ ▼▼

85.太陽電池と燃料電池どちらが有利?.  3-14-98.

その1.太陽電池と水素燃料電池.

 私にすると専門外の事柄なのですが、ある大学院生から質問を貰いました。その内容は、クリーでまた無尽蔵なエネルギーとして太陽光があり、その光エネルギーを太陽電池で電気にかえるシステムがあります。太陽電池で走る車や太陽電池を屋根に貼って発電する新しい家屋等が話題になる昨今ですが、太陽電池を作るときに必要なエネルギーとそこから得られるエネルギーではバランスが取れているのでしょうか?、というものでした。

 なぜ私にこのような質問を送ってきたのかを多少説明する必要があります。シロアリから取り出した細菌でゴミを水素に変換し、そこから発生する水素ガスを燃料電池を用いて電気に変えるシステムの確立をしたいと、ある雑誌に書いたことがあります。水素を電気に変えることは、私の専門外のことですが、細菌を用いてゴミを水素に変換する実験を学生と行っています。私達の実験風景をNHKが過去2回放映してくれたことがあります。そのとき手作りの水素燃料電池で水素を電気に変えて、ラジオを鳴らすシーンが放映されました。

 このような事柄を覚えていてくれて、私がエネルギーバランスをどのように考えているのかを知りたいと、上のような質問を送ってきてくれたのです。

  その2.太陽電池のエネルギーバランス.

 太陽電池の原理や構造を私は知りませんので、ある企業の開発担当者にこの質問をしてみました。送られてきた回答のアラマシは、次のようでした。

 ご質問の件は、結構重要な問題で、太陽電池の需要が少ないときはいいのですが、大量に用いられるようになると、質問の点が問題として浮かび上がってきます。耐久性のある太陽電池は、シリコンを溶融してから作ります。この熱エネルギーが大変なのです。製造時に消費したエネルギーと発電エネルギーの収支をとると赤字です。

 現在は多少救いがあります。それは、太陽電池用の半導体の純度はそれほど高い必要はありません。電子製品に用いられている半導体はかなり高純度が必要です。現在の太陽電池は、残りカスの半導体原料を用いているので、高いとは言えそれなりのコストで作ることができます。

 高レベル放射性廃棄物の処分場のことが大変な問題になっています。処理法が確立される前に、原子力発電を開始してしまった結果、高レベル放射性廃棄物の処分が今になって問題になってしまいました。本来オカシナことです。太陽電池は、製造時に消費するエネルギーと発電エネルギーとで、エネルギーのバランスが取れないのかもしれません。

 将来大量に使用されると、その数年後には製造した数だけ処分しなければなりません。その時の処理法やその費用は現在では未定なのでしょうから、この費用やエネルギーも計算に入れると、太陽電池の将来は必ずしもバラ色ではないようです。コマーシャルを聞いている限りでは理想のエネルギー獲得法のように思いがちです。

  その3.電気ウナギの発電システム.

 私の周りには、遺伝子工学や組換えDNA実験の手技を駆使して、痛み、食欲、呼吸、冬眠や性決定等の研究を遺伝子のレベルで行っている研究者がたくさんいます。時に半分冗談で、電気ウナギの発電システムの遺伝子を取り出してくれないかと言うことがあります。

 電気ウナギには、発電するための細胞がたくさん存在しているようです。電気ウナギが発電して、馬をも倒しても自分は蒲焼きにならないことからして、この発電システムはエネルギー効率は抜群に良いはずです。

 電気ウナギの発電細胞を試験管の中で培養しても、それほど強い電気は起せないかも知れません。しかし、発光細菌をフラスコで培養すると、フラスコ全体がホタルのように発光します。1個の発光細菌が出す光はさほど強くなくても、1億個や100億個となると、その総発光量は本が読めるほどになります。

 近い将来世界の誰かが、電気ウナギ等の生物の発電システムを試験管の中に封じ込めてくれる日が必ず訪れます。このような発電システムでは、エネルギー収支は必ず黒字でありましょう。地球にもまだ明るい未来がありそうです。明治時代の日本人のなかには、独創的な人がたくさん輩出しました。若い科学者の独創性を摘んでしまわない指導者が求められているのかも知れません。

  その4.我々の取り組み.

 最後に、私が学生達と行っている「エネルギー回収型廃棄物処理システム」という夢のコミ処理法は、廃棄物を細菌による水素発酵の一環に組み入れ、そこから発生する水素を燃料電池で電気に変えることです。各家庭や事業所から排出される廃棄物をその場で電気にまで変換できる小型発電機は、出来ないものでしょうか。ガンバラナクッチャ!

 太陽電池のエネルギーバランスについて質問を送ってきた大学院生の予感は、あたりのようです。

▲▲ ▼▼


Copyright (C) 2011-2017 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.