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123.ストレスに勝つ楽観主義. 12-27-98.

  ケンタッキー大学の心理学のスーザン・シガーストローム助教授がストレスと免疫能についての面白い調査結果をまとめて発表しています。その概要を紹介する前に、ここで言う免疫能について、簡単に説明しておきます。

 生体の免疫を担う細胞には何種類かあり、微生物などの異物が侵入してきたとき、異物に対する抗体を作るよう指示するのがTリンパ球という細胞です。Tリンパ球にも何種類か知られていますが、エイズの患者ではこのTリンパ球がエイズのウイルスに破壊されて免疫不全となります。生体の免疫能を維持するには大切な働きをする細胞です。次に、何らかの原因で正常な細胞がガン化すると、その細胞を取り除く働きをするのが、ナチュラルキラー細胞で、省略してNK細胞と呼ばれます。このNK細胞は、ガン細胞などに働いて細胞に傷害を与えます。これを細胞傷害活性と言います。

 法学部の新入生50人の協力を得て、ストレスと免疫能について調査をしました。新学期の開始時点、学期途中(入学2ヶ月後)と学期終了後の3回、全学生から採血してリンパ細胞の種類と数を調べました。

 学期開始時点では、全ての学生が学期末には良い成績を修め、無事に進級できることを期待し明るい希望を抱いていました。ところが、入学2ヶ月後には、ほとんどの学生が「勉強を始める前に比べて若干気分が落ち込むような経験をした」と報告しました。最後には、学期の途中から学期が終了するまでに、自分の成功を信じてきた「楽観的な学生」と、「より悲観的な学生」に分かれました。

 学期開始時点では、学生のTリンパ球の数はほとんど同じでした。学期途中では、ほとんどの学生でNK細胞の数が減少しました。しかし、楽観主義者の場合、学期途中に測定したNK細胞の細胞傷害活性は、学期始めに測定した値より42%も高かった。一方、悲観主義者の場合は、入学2ヶ月後の活性値は9%上昇したに過ぎませんでした。学期終了後のTリンパ球の数は、楽観主義者では13%増加しましたが、悲観主義者では3%減少したそうです。

 スーザン・シガーストローム助教授は、これらの変化について、「すべて正常な範囲内だ」と強調しています。しかし、重要な点は、「おそらく脳内でストレスホルモンが放出されることにより、ストレスが免疫能を抑制することで、ストレスの影響はストレスを受ける人の性格により違ってくることだ」と考えているようです。

 楽観的なものの考え方をする人は、いろいろな出来事をストレスとは受け止めず、悲観的な気分になりにくいのでしょう。この調査結果は、「ストレス下に置かれたとき、その人の人生観や気分が免疫能に対する反応に影響をおよぼす可能性を示している」と思います。

 皆さん、できるだけ楽観的に考え楽観的に振舞いましょう。健康によいかも知れません。

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