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137.噴水でクリプトスポリジウムの集団感染. 3-25-99.

  1. 水道水のクリプトスポリジウム汚染。

 埼玉県越生町の水道水によるクリプトスポリジウムという耳慣れない原虫による激しい下痢を伴う集団食中毒が起こり、この原虫による水道水の汚染が問題視された。この事件のことは、まだ記憶にあると思います。クリプトスポリジウムは、本来牛などの動物が保有し、糞便とともに排泄されます。それが何らかの原因で水道水に混入するのです。そもそもこの原虫は、塩素に対して大変に強い抵抗性を持つため、水道水の通常の塩素消毒では、殺すことが不可能であるようです。

 米国の水道水は、凡そ七割程度の地域の水道水からこの原虫が検出されると聞きます。日本国内でも原虫の数こそ少ないがかなりの河川水から検出されるようです。米国の水道水になぜクリプトスポリジウムが多く含まれるのかは、両国の水源の違いによるのだそうです。日本国内の水道水の水源は、山奥のダムであったり、または渓流が多く、あまり長い大きな河川の水は使われていない。ところが米国の水源は、広大な平原を悠然と流れている大きな河川水が使われ、その間多くの都市を通過し、いろいろなものが混入することにあるようです。ここしばらくの間、この原虫による下痢の国内報道は無いようですが、対策は大丈夫なのでしょうか。「24.クリプトスポリジウムてなに?」も参照して下さい。

 

A噴水のクリプトスポリジウム汚染。

米国の広報(CDC)によると、ミネソタ州の動物園の噴水を介した大規

模なクリプトスポリジウム原虫による集団感染があったようです。そもそもの発端は、動物園での誕生会に参加した10名の小児のうち4名ほどが胃腸炎に罹ったとの報告がミネソタ州保健局へ届けられたことから始まります。来園者リストの提出を受けて聞き取り調査がなされました。当初の判定基準は、来園者で嘔吐または日に3回以上の下痢の症状を示した者としたようです。リスト記載の120名のうち11名が胃腸炎に罹った者に該当し、いずれも園内の噴水で遊んだ経歴を持っていたことが判りました。調査対象を噴水で遊んだ者に広げて再調査をしたところ、当初の11名を含む369名が下痢などの胃腸炎に該当することが判明しました。そのうち73名は検便で原虫陽性でありました。患者の年令は0歳から65歳で、10歳以下が333名でありました(年齢の中央値は6歳)。全員が下痢を訴え、腹部ケイレンが86%、嘔吐が78%、発熱が63%、血便が3%に見られました。潜伏期の中央値は6日間で、なんらかの症状のあった期間は7日間でした。噴水の汚染原因は、オムツをした幼児の水遊びと推測されたようです。園内で動物との接触による感染の可能性は否定されています。

 

 B リクリエーション施設での水管理。

 水を利用したリクリエーション施設が私達の周りにも多く存在します。例えば、親水公園や自然公園の中を流れる人口のセセラギ、噴水や滝の類です。これらの水は、地域によって多少状況は違うこともありましょうが、大体は水を循環させて再利用しています。

 この親水公園の循環水や砂場の砂が微生物学的には、結構汚いことが多く見うけられます。砂場は、猫が糞をすることにより、寄生虫の卵や大腸菌群の細菌が多く検出される汚染のようです。循環水は、ヒトの身体に付いている細菌や循環させることにより大気や土壌中の細菌が混入し増殖することによるようです。

 今回の米国での報告のように、オシリからクリプトスポリジウムが混入することも考えに入れておく必要がありそうです。とかく循環水は、クリプトスポリジウム原虫やレジオネラ菌などを始め物騒な微生物を多く含んでいるようです。今回は書きませんでしたが、アカンソアメーバーという失明や脳障害を起こす新しい病原性アメーバーも登場して来ています。水を管理する者は、いろいろな汚染を検討項目に入れて、健康障害を起こすことのないよう安全な水の提供をお願いしたいものです。

 

 水と空気がただであった時代は過ぎ去ったようです。安全な水を確保するには新知識と新技術のほかに心配りも大切であるようです。

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