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142.手指を清潔にする大切さ.5-15-99.

@インフルエンザ台風。

 冬になると台風のように突然としてインフルエンザの流行が始まり、短期間の内に学級閉鎖が日本全国に広まり、また急速に消え去ってしまうのがインフルエンザの特徴の一つです。さらに、意外なほどの高熱と筋肉痛などの全身症状が診られる臨床症状から、インフルエンザはその他のカゼとは区別される病気で、一般に想像しているより怖い病気です。1997年には香港のトリ型インフルエンザが話題になりましたが、昨年(1998年)は若い人達を中心にインフルエンザが大流行し150万人もの患者がでたそうです。今年の冬は昨年感染しなかった大人を中心にインフルエンザが大流行し、死亡者が高齢者に多くみられました。今年のインフルエンザの大流行については、別な項目をつくり解説する予定です。

 大昔の人は、インフルエンザが短期間のうちに広い地域で多くの人が一斉に発症することから「天体の影響Influentia coeli」に起因すると考えていたようです。これらのことに由来して流行性感冒は、Influenzaインフルエンザと呼ばれるようになりました。

 また湖沼地帯に多く発生するマラリアのように、ある特定の地域に流行することが観察力のある者には判っていました。このようなことから病気は、空中に存在する何物かによって起こされるという考えが定着しました。医者のなかには、病気の原因は揮発性であると信じていた者もいたようです。その証拠に、イタリア語のMalariaマラリアは、沼地などの湿地から何か悪いものが昇っている「悪い空気」を意味しているのだそうです。

 

A皮膚に付いている微生物。

 生体はある種の微生物にとっては格好の生息場所で、外界に接している正常人の「皮膚には約1兆個、口腔内には100億個、腸内には100兆個」もの細菌が長期にわたり定住していると言われています。これらの細菌は、宿主の防御機構で排除されることはなく、その領域に侵入して来る他の微生物に抵抗しています。本文では、これらの定住細菌の生息領域に侵入してくるインフルエンザウイルスとについて、簡単な話題の提供を試みたいと思います。

 インフルエンザは、インフルエンザウイルスが引き起こす流行性感冒ですが、これは健康人が罹った場合の話です。抵抗力の弱い高齢者や妊婦および慢性呼吸器疾患や心疾患を持っ人が感染すると、心筋炎、脳炎や脳症を誘発し、死亡することもあります。またトリのA型ウイルスには強い中枢神経毒性をもつ強毒株の存在も知られています。

 

Bウイルスがどうして手指に付くか。

 インフルエンザは、突然として現われ急速に消滅しますが、次の流行期までインフルエンザを起こすウイルスはどこに潜んでいるのでしょうか?インフルエンザウイルスは、物理化学的に抵抗性の弱いウイルスですから、次の流行期まで空中を漂っていることは考えられません。秘密の安住の地を確保しているのでしょう。インフルエンザウイルスがどのようにして夏を越せるのかは、残念ながらまだ良く解っていません。

 専門家に聞いた話ですが、今年のインフルエンザの流行期には、電車やバスの「つり革」や公衆電話の「受話器」などからインフルエンザウイルスが良く分離されたそうです。この種の試験は、過去にはあまり行われていないので正確に比較するデータはないようです。どうしてつり革や受話器からウイルスが高率に分離されるのでしょうか。

 近頃の若者の一部には、人前でも平気で咳きやクシャミをすることがあるようですが、普通の常識人であれば口に手をあてる筈です。口に手を当てるのは、大人のたしなみとしての行為以外に、咳きやクシャミによる飛沫を撒き散らすのを少なくする周囲の人達へのエチケットでもありましょう。咳きがでそうになると、つり革をつかんでいた手を素早く口にあてがい、咳きと一緒に飛び散った飛沫をつけた手で急いでつり革をまたつかみます。そのつり革は、次の乗客がつかみ、前の人が付けたイルスを次の人が手に付ける中継点として感染を伝える働きをします。口に手を当ててクシャミをするのは大人のたしなみで、エチケットだと上に書きましたが、たしなみも災いのもとになるのです。

 それでは、口に手を当てないほう若者の行為の方が良いのでしょうか。 口に手をあてがわないでクシャミをすると一回で10万個ほどのウイルスが飛び散るのだそうです。手に付く代わりに空気中に拡散されるのです。一台のバスに仮に50人の乗客が詰め込まれていて、その中の一人が一回咳きやクシャミをしたとしますと、乗客50人が感染するに充分量のウイルスがバスの空間に拡散することを意味します。つり革を握っていた手でムズムズする鼻をこすったり、バス内の空気を感染者と一時共有すると、数日後にはそのバスにのり合わせた乗客の多くがインフルエンザを発症することになります。

  

C手指が汚染されているとどのような事が起こるか。

 インフルエンザウイルスは、口腔内および鼻腔から咳や鼻汁として吐き出されて手や指につき、それが鼻から直接またはホコリなどと共に間接的に吸引されて感染し、上気道感染症としてインフルエンザを発症させます。これらを手から手の感染hand-to-hand infectionと呼びます。しかし、一番多いのは、空気を介する飛沫感染でしょう。手から手の感染も飛沫感染も容易に感染を拡大させる要因として重要です。

 

Dどうすれば良いか。

 インフルエンザウイルスに限らず手指が細ウイルスや菌などで汚染されるケースは、呼吸器系感染症の場合は咳きクシャミによる飛沫による汚染、オシメの交換や洗濯などでは直接間接的に糞便の付着による汚染などが考えられます。

 インフルエンザウイルスは有機溶媒、例えばアルコールに対する抵抗性が弱いですから、手指を消毒アルコールまたはヨード系消毒薬などで拭くことは有効と思われます。また咳きやクシャミが出る時は、マスクを着用しウイルスを周囲の人達に浴びせかけないようにお互いが注意することが有効と思います。

   オシメなどに触れた手指は、薬用石鹸等で洗った後大量の水道水で良く洗い流し、その後、清潔で乾燥しているタオル等で良く拭き、消毒用アルコールやハンドクリーム等を付けるのも良いでしょう。オシメを使用している赤ちゃんや自分で歩行できない人達への思いやりです。

 

 インフルエンザウイルスは、感染者の咳きやクシャミといっしょに排泄され、口に当てた手に付着し、また一部は空気中に勢い良く拡散されます。手から鼻に空気から呼吸器に入り込み、感染を起こします。手を良く洗い清潔にすることの意味を理解して頂けたと思いますが、如何でしょうか。

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