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163.大学存亡の危機の実態. 101299

  1. 大学の冬の時代.
  2.  明確な夢も希望も持たず新聞も読んだことのない大学生が多いことを158.大学生の学力と「罪と罰」》に書きました。この文を書いた私の目的は、神戸の高校生「宮後絢音さん」を例として挙げ、中学生や高校生にも勉強家も読書家も居ることを強調するためでした。ところが、この文章をホームページに掲載した直後から、「大学に冬の時代が到来することは予測していたけれど、もうすでに定員確保が難しい大学があるとは一寸信じがたい気がする、大学の台所事情を数値で教えてくれ」とのメールを貰いました。大学生の数から見て日本の高等教育は、私立大学が八割を支えています。教育や研究の内容やその程度は別にして、大学教育の底辺に歪がみられるようになっている現状を知ってもらうことも大切かと思い、一教員の身分で僭越ではありますが、手元にある資料から入試に関する数値を紹介します。

    ある公的機関が全国の大学に入試に関するアンケート調査を実施し、その結果が公表されています。回答が得られた424大学の平成11年度の結果です。

     前年度より志願者が減少した大学が350大学(82.5%)

     前年度より志願者が10%以上減少した大学が268大学(63%)

     前年度より志願者が30%以上減少した大学が85大学(20%)、 

     学生定員を確保できなかった大学が83大学(20%)でした。

    私立調査機関の資料によると、入学試験に合格した受験生の学力は、調べた920学部・学科のうち754学部・学科(82%)で偏差値の低下が確実に現われ、今後も偏差値の上昇は望めないそうです。

     志願者の急激な減少は、18才人口の減少と不景気による受験する大学の数の減少によると考えられています。入学を許可しても入学してこない学生の数が殖えていることが、結果として入学定員割れを起こす原因と考えられています。

     近い将来、大学にある机の数と受験生の数が同じになるそうです。別な表現をする、競争倍率が1になるのです。そのような状況になっても、どうしても入りたい大学がある限り、浪人生が出る数だけ定員を確保できない大学が出てしまいます。

     台所事情とは、経営的な問題も含まれるのです。これは、まさに大学存亡の危機が迫っていることを示していると思います。

  3. 大学は変われるか。

 大学での教育は、国公私立を問わず文部省の強い指導下にありました。そのため、何処の大学にいっても1年生は教養科目から勉強する同じ教育が行われていました。学生にしては、面白くない授業も受けなければならなかったのです。

 ところが文部省は、方針を転換し、カリキュラム編成の自由化、特色のある大学つくりを自助努力でやりなさいと云い出しました。

 国立大学は、国の行政改革の一環として、近いうちにエイジェンシー化し独立します。私立大学と違って国立大学は国民の税金で百パーセント支えられてきました。その親方日の丸の国立大学が経済観念の無い教員集団で経営・維持しなさいと言われているのです。さあ大変です。今後どうなるのでしょうか。

 欧米の大学は、学問を教える大学と学問も教えるが研究にも力を入れている大学とに2大別できるようです。日本の大学は、形式的には東京大学と同じことを謳い文句にし、教育と研究の場とされています。学問を教えるために研究が必要と云われています。しかし、工学部や医学部を代表として、その他の理工系学部もその殆どが職能教育に徹しています。学問を教えるのではなく、実学を授けているいるようです。聞いた話では、ドイツ語には「実学」という言葉が無いそうです。大学は学問をするところと考えられているようです。

 教育と研究という異なる二つの仕事を負わされている教員にもいろいろな能力の持ち主がいます。教育には非常に長けている教員、研究に長けている教員、教育も研究もできる教員などです。異分野の教員が実施している研究を正確に評価することは至難の業ですが、発表した論文の数を比較してもある程度の研究業績の比較はできます。ところが教員の教育をする能力や人物を評価することは、これまで全く行われてきませんでした。

 これからの大学は、教育に長けた教員がいて学問を教えてくれる大学、研究に長けた教員が研究能力を育んでくれる大学と職能教育に徹し専門職業人を養成してくれる大学に自然淘汰的に分類分けされていくものと思われます。

 文部省主導型の画一的な大学教育は終りに近づいています。これからの若者達は、自分の目標にあった大学に入り、必要な教科を自主的に学び、入社三年で転職するのでなく、自分の能力を評価してくれる組織・企業で悔いを残さない社会人としての人生を歩めるよう努力して貰いたいと願っています。

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