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191.水筒の細菌汚染.4-20-2000.

  病原性大腸菌O157に汚染された学校給食が原因で小中学校を拠点に起こった集団食中毒が発生した時点、とペットボトルの飲料水が市販されるようになった時から、学校や職場に飲料水を自宅から持参する傾向が見られます。自宅から持参しないまでも、近くの自動販売機でペットボトルの飲料水を購入しカバンなどに入れて持ち歩き、ところかまわず飲んでいる人達も良く見かけるようになりました。「53.口の中に百億個の細菌がいる!.」にも書きましたが、飲料水のペットボトルに口をつけて飲み、蓋をして持ち歩く光景は、私などが見ていると不潔で仕方がありません。相当数の雑菌があのペットボトルには居るに違いないと思われるからです。自分の口のなかの菌を殖やして自分で飲むのですから、例え病気になったとしても自業自得ですからか心配する事はないかも知れません。

  ある有名大学の薬学部に勤務している高校の後輩の一人が、薬学会の年会で「学童が使用している水筒の飲料水の細菌学的調査」という発表を見つけましたと、そのあらましを連絡してくれました。薬学会という専門学会の発表としては珍しい演題とは思いますが、この曖昧模糊には打ってつけの話題と思いますので、その調査結果の発表内容について紹介します。

  この発表は、学校の衛生管理を担当している学校薬剤師の立場から、学童が自宅から持参する水筒の飲料水が細菌学的にキレイなのかキタナイのか、飲料水の種類や容器による違いがあるかを検査した結果の纏めです。

  神奈川県のある市の小中学校の学童44名が実際に使用している水筒とその水筒内の飲料水の細菌について検査をしました。その結果判明したことは、飲料水としての中身は、自家製麦茶などのお茶類が35名と最も多かった。お茶類はすべてから細菌が検出され、水道水より細菌の検出頻度が高かった。お湯で煮出すタイプのお茶類より水だしタイプの方が圧倒的に悪く、洗ったペットボトルに入れたお茶類よりも魔法瓶型水筒の方が細菌の検出頻度が高かった。これらのお茶の約60%は100個以上(1ミリリットル当たりと思われるが、容量の単位は不明)の細菌が検出され、麦茶からの細菌数が最も多かった。消毒剤として塩素の入っている水道水と違って栄養分の含まれる飲料水を魔法瓶型の水筒に入れて使用する場合は、細菌が混入し増殖し易いことに充分に注意する必要があることが判明した。また魔法瓶型の水筒は、フタの構造が複雑で洗浄や消毒がしにくい、またフタに穴があって液体が数滴たまってしまうなどの問題について検討が必要である、と書かれていました。

  分離された細菌の詳しい性状の記載はありませんが、ミクロコッカス、バチルスやブドウ糖非発酵性クラム陰性桿菌であったようです。これらの菌()名を聞かされると、瞬間的にセレウス菌、緑膿菌やセラチア菌などの名前が私には浮かんできます。少しぐらい飲んでも下痢などの病気を起こす心配は少ないと思われます。今回の試験には反復試験は実施されていないようですが、仮に「セレウス菌、緑膿菌やセラチア菌」などが常に検出されるのであれば、フタを含めた魔法瓶のどこかにこれらの菌が定着している可能性も考えられます。とすると絶対に安全であるとは断言できないと思われます。より安全な飲み物を子供に持たせたいと願うなら、蛇口からの水道水を直接ペットボトルに入れて呑ませるか、沸騰させた飲料水を持参させるべきと考えます。しかし、魔法瓶型の水筒は、煮沸消毒もできないのが問題としてのこります。

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