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197.マスコミでの科学番組.5-31-2000.

 NHKをはじめテレビ各局は身近な科学についての番組に相当な力を注ぎ、視聴率の高い番組つくりに日夜努力しているようです。推理小説のジャンルに分類されると思いますが、銭形平次捕物帖とは一味違う「刑事コロンボ」という人気テレビ番組があります。殺人事件を背景に展開する推理小説でありながら、人気のある秘密は何でしょうか。刑事コロンボが殺人事件を解決していく過程が極めて科学的実験的であるからと私は思っています。

 科学は、芸術や文学とおなじように、ほんらい面白いものですから、興味を持っている人は大勢います。子供も大人と同じように科学には大変に興味を示します。

 民放各局では、番組として取り上げられそうな話題さがしから科学番組の制作が始まるようです。取り上げられそうな課題のリストがある時期に発表されると、「リサーチャー」という職種の人達が、インターネットを駆使して幾つかのキーワードからそれらしき話題が掲載されている情報提供者さがしを一斉に開始するようです。リサーチャーがある種の手ごたえを得られると、自分が集めた「成果」を記名入りでボードに記入して「ディレクター」という職種の集団に広く知らしめるようです。ディレクターは、撮影スタッフを伴って現場に赴き、取材しビディオ撮影にこぎつけるようです。

 「XXテレビのXX番組のXXです、XXについて話を聞かせて下さい」、との第一声が電話で入ってきます。極端なケースでは、同し日に同じ番組の担当者と称する幾人かの者達から同じ言葉をかけられます。彼ら特有の厚かましさは、他人は自分の生活のために存在しているかのような錯覚に陥っている者達ですから、それはかなりひどいものです。マスコミ関係者には、人間としてハズカシイ人が多いのが特徴のように感じられます。彼らは、XXテレビ(NHKは別)ですと名乗りますが、それは詭弁でして、番組制作を請け負う会社の人達で、そのような会社が幾つも複数に存在し、各社がわれ先に競争をしているようです。下請け貨車の間の協定や協力体制はないように感じています。テレビ局は、彼らが撮ってきた・作ってきたものを放映しているようです。

 厚かましさは別にして、突飛もない思いつき的な話題について聞かれることがしばしばあります。いまでも私の記憶にある話題をあげると、例えば(表現は正確でないかも知れません)、「台風は外国から病原体を運ぶ役割をしていると考えられるがその例を知りたい、ある火災の原因は家内に放置してあった生ゴミからメタン・水素ガスが発生したのが原因と考えられるが実験で証明できるか、建売住宅の崩壊は微生物が土台のコンクリートを食ってしまった結果と考えられないか、O157による集団食中毒は細菌兵器による国際テロの可能性を証明したい、冷凍マンモスから微生物を取り出し画像で紹介したい、台所の微生物汚染と食中毒の関係を画像化したい、通行人の手やほほに付着している微生物を見せたい、足が臭いことを細菌学的に放映したい、食品の腐敗と微生物による発酵との関係をまとめたいなどです。

 これらのことを聞かれたそのときは、取材に協力するのがオックウなことも一部ありますが、考えたこともない事柄が多く、そのうえ通行人を捕まえてその場で手についているMRSAを見せることなどできませんから、取材に応えようもないのが現状です。ところが、その後考えるとそれらしき事例にぶつかることも実際はあるものです。

 配水管のコンクリートを食う細菌が存在し、それによる被害も実際に報告されていることは事実です。しかし、家屋の土台のコンクリートを細菌が食ってしまい家屋が破壊されることは、私は知りませんでした。ところがつい最近、「コンクリートを食い宅地を荒すバクテリア」というタイトルの学術報告を見つけました。

 近いうちに、この内容を「環境と微生物」の欄で紹介する予定です。マスコミ関係者の話題も全く根拠のないものばかりではなさそうで、時には彼らの考えにも耳をかたむける心はなくさないほうがよさそうです。 

 低俗な番組が多いときに、少しは真面目な科学番組を制作してくれるのは、視聴者としてはありがたいことと思っています。低俗なお笑い番組ばかりでは、テレビも見たくなくなってしまいます。民放各局も視聴率を無視しスポンサーも付けないで年間一本でも局独自の後世に残るような良い番組を制作して貰えないものなのでしょうか。

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