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201.洗濯で感染する? 6‐252000

T.日本人は世界一清潔志向.

日本人の清潔志向は、世界で一番かも知れません。抗菌グッズの氾濫は別にして、平均的な日本人は、旅先でも自宅にいても毎日お風呂に入り頭も洗う、浴槽のなかで洗剤を使わない、身体は浴槽の外で洗う、上がり湯で身体を洗い流してからタオル(バスタオル)で身体をよく拭いてから浴衣を着る。

  私の知っている外国の例をあげますと、大袈裟に表現するのではありませんが、次ぎのようです。まず、パリのフランス人は、頭は1週間に1度位しか洗わないし整髪料はなにも使わない(パリでは男性用整髪料はほとんど売っていません)、頭髪は洗って1週間くらい経つとちょうどよく馴染むようになると言うことを聞きました。また一流ホテルを例外としてパリの普通の宿泊施設(ホテル)では、殆どの客室には浴槽もシャワーも無く、シャワーだけが付いている客室が多く、浴槽のある客室はごく少数でした。

  ロンドンの「ベッドと朝食Bed and Breakfast」と呼ばれる民宿型の宿泊施設では、共用の浴室が各階にありますが、そこには四本足が付いている浴槽(バスタブ)が床に置いてありました。必然的に浴槽のなかで身体を洗わなくてはなりません。

  アメリカでは、家庭でもモーテルのような宿泊施設であっても、浴槽はついていますが、彼らは浴槽のなかで洗剤を使って身体を洗います。しかし、一般にはシャワーを良く使うようです。学生もデートに出かける前には必ずシャワーで身体を洗います。

  東南アジアでの裕福な家庭では、浴槽もシャワーもありますが、冷水シャワーを好むようです。暑い国では熱い湯のお風呂に入る習慣はないようです。

 これらの違いは、各国の気温や湿度が関係しているようですが、それ以上に「キレイにする、入浴する」意味に違いがあるように思われます。例えば、「体臭や汗を洗い流す」のと「アカをとり身体を清める」との違いかも知れません。

2.お風呂の使い湯で洗濯は日本だけ。

  ある国際的な超大型企業の開発センターの環境部を指揮している幹部の方々(外国人)が先日私の研究室を訪ねて来られました。訪問の目的は、簡単に表現すると「洗濯の衛生学」についての情報交換でした。

  「日本の家庭では、下着などの洗濯に水道水や前の晩に家族全員が使った風呂の湯を使っていますが、水道水や風呂の使い湯を洗濯に使う国は日本以外に世界に存在しません。お風呂の使った湯は、微生物的に問題は無いのでしょうか」との話から対話が始まりました。医療施設の洗濯物の微生物について調べたことはありますが、家庭での洗濯と微生物の関係は今までに聞いたことも経験も有りませんでした。

  「日本以外の国では水道水を洗濯に使わないのですか」と私が質問したら、洗濯機を使わない国や地方は別で、洗濯機が当たり前の先進工業国では、冷たい水道水を選択には使いません。洗剤は、冷たい水よりあたたかいお湯で使う方が洗浄力が強く汚れは落ちやすいでしょう。世界の諸国では、給湯機からの湯を使うか、または洗濯機にヒーターが付いていて温めた数十度から60℃位の温水を使っていると言うのです。

  家族全員がお風呂に入ると、皮膚に付着していた微生物およびお尻の周りに付着していた糞便由来の微生物が浴槽の湯に洗い落とされ、一晩たつうちにそれらの微生物が相当多数に繁殖している筈と思われます。

  糞便由来の微生物で汚染されている下着やオシメなどの必ずしも清潔でない洗濯物を一晩微生物が増殖したようなお風呂の湯で洗濯し、その選択物に触れた手で食事の準備などをするのは非衛生的と思われるが、洗濯を介して病気になることは有りませんかと質問されました。

  

3.温水と冷水の違い.

  私からの彼らへの返答は、次のようでありました。小さい子供の下痢などの病気は、お風呂の湯を介して起こっている可能性があると私は思っています。しかし、子供の下痢がお風呂の湯が原因でおこったことを証明する直接的な証拠が見当たらないのです。

  お風呂の湯で洗濯した物に触れた手が微生物を持ち歩くことは調べようと思えば直ぐに証明できます。お母さん達の手に多くの糞便由来の微生物が付着していたと仮定して、その手に付いている微生物が家族に病気を引き起こす原因になっているかも知れませんが、それを証明することは難しいでしょう。

  仮にお風呂の湯に微生物が多くいるとしても、それらは自分が排泄した糞便に由来する微生物ですから、自分の微生物ということになります。他人の糞便由来でないから、許されるのと違いましょうか。

  大笑いしてこの対話は終わりました。彼らが帰ってから、少し考えてみました。

国内のホテルでも西洋式風呂場では、身体を流す場所がありませんから、仕方なく浴槽内で洗剤を使い、次の人のために使った湯は捨ててしまいます。いまはほとんど見かけなくなりましたが、五右衛門風呂では、じっとしていないとヤケドをする可能性がありますから、浴槽内で身体を洗うことは不可能でした。日本式のお風呂の使い方には、いまも五右衛門風呂の使い方が名残として残っているのでしょうか。いいずれにしても、日本式のお風呂の使い方では、お湯は捨てずに残るのです。残っている湯は、捨てなくてはなりません。ただ捨てるのは勿体ないので、洗濯機を製造販売している何処かの会社の知恵者が浴槽の湯を汲み上げる装置を親切にも付けてくれたのでしょう。

冷水と温水で洗剤の効能は、どの程度違うのでしょうか。温水を使うほうが洗浄力はつよいような気がします。60℃ものお湯を洗濯に使うとすると、納豆菌などの例外は別にしてほとんどの細菌などは死滅するでしょう。細菌に対する作用を考えると温水を使うメリットはありそうです。しかし、今後は環境中の二酸化炭素の濃度を抑制する必要がありますから、洗濯のために電気かガスで温水を作る時の二酸化炭素の量も考慮して、冷水と温水の洗濯における衛生学を考える必要がありそうです。冷水で充分な効果を発揮できる洗濯洗剤をどこかの会社が開発してくれれば、洗濯は冷水に限るとのことで世界制覇も夢ではないでしょう。

 

  世界で一番清潔志向の強い日本人の洗濯は、世界各国で行われている洗濯より衛生的に清潔でないのかも知れません。意外な話を紹介させて貰いました。さて、これを皆さんどの様に考えますでしょうか。

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