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214.水道水がピンク色になる.10-20-2000.

「住民より浴槽で使うタオルが桃色に変色したとのことで水道の水が原因ではないかとの苦情が寄せられました。細菌の繁殖によりこのような着色現象が起きることがあるそうですが、人体への影響等についてお願いします」という趣旨の質問を水道局に勤務する方から貰いました。これに対して、珍しい細菌についての質問なので私もあまり知りませんが、当たらずも遠からず程度の情報を質問を寄せてくれた人に書いて送りました。

この類の着色現象は、浴室やプラスチック製品でときに話題になっているようです。詳しくは知りませんが、水道局の方に限らず一般家庭でも話題になる可能性があるように考えましたので、ここに簡単な説明文を掲載します。

ピンク色の着色現象を起すグラム陰性桿菌の代表的なものは、「Methylobacterium mesophilicum」という細菌と思います。通常の病原性細菌などと少し違って36℃前後では発育が悪いようです。集落を形成させるには30℃以下の温度で、3?5日程度の培養が必要のようです。少し専門的な用語を用いますが、発育や着色には、トリプチケースソイ寒天培地よりはポテトデキストロース寒天培地の方が良いように思われます。ポテトデキストロース寒天培地の上にピンク色で小さな集落が形成されます。水道水の残留塩素では殺菌されませんので、注意が必要かと考えています。水道水の残留塩素は、通常0.3?0.7mg/Lですが、この菌は1mg/Lの塩素では3ヶ月以上死なない事が確認されています。紫外線にも抵抗性のあるようです。

ethylobacterium mesophilicumによるピンク色の着色は、プラスチックのまな板、トイレの便座、洗面所のコップ、浴槽等で確認されています。タオルについては、未確認です。新築から4年ぐらいのマンションで頻繁にみられるように思われますが、戸建住宅や水道管の交換等が有った場合にも観察されます。古い住宅やマンションでも起こっているのかもしれませんが、調査不足かもしれませんが判りません。このような着色がみられる家庭の水道水についてしらべましたところ、水道水からも頻繁に検出されることが判りました。水道局の配水池からも検出されるか否かについては、未確認です。

この微生物の病原性については、健康な人についてはほとんど問題とはならないと考えられますが、抵抗力の弱い易感染性の人の場合は、問題があると思われます。

同じピンク色を呈する微生物として酵母のRhodotorula(粘調性の大きな集落を作る)も同時にみることがあります。酵母のRhodotorua や腸内細菌のSerratiaセラチア菌等による場合は、どこかに汚染源があると考えられますので、早急な対策が必要と思います。

 

環境からの微生物については、当該菌の検索をすることをはじめ、判らないことだらけで、どこに依頼したら調査や検査を引き受けてくれるかも一般には良く判らないことのほうが多いようです。しかし、塩素や紫外線に抵抗性のMethylobacterium mesophilicumにつては、いまのところあまり問題視されていませんが、性状が判りだすと良くも悪くも意外な事柄が知られるようになることでしょう。

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