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245. 家畜飼料への添加物について.6-11-2001.

英国から始まり欧州各国を中心に現在では世界各地で社会問題となっている「狂牛病」は、牛を育てるときに用いられる飼料に添加された「病気の動物の骨」に原因があるようです。日本国内に人の狂牛病を持ち込ませないために、英国に半年以上滞在した人から献血を受けつけないことになったようです。動物の飼料に添加する物については、法律的にはいかなる指導も規制もないのでしょうか。飼料に添加する物について、法律ではどのようになっているのか教えてください、とのメールで貰いました。私も畜産に関することは勉強したことが有りませんので、なにも知りませんでした。そこで家畜の飼料について少し調べてみました。飼料添加物についての法律は、国内にも歴然と存在するのです。その調べた結果を簡単に説明します。

飼料添加物とは.

畜産経営の大型化や集団化などから合成抗菌剤および抗生物質などの抗菌性物質の使用量が増加してきた。これらの問題に適切に対応するため、家畜の飼料の安全性を主眼とする「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(以下、飼料安全法と略称)」が昭和51年から施行されています。

この飼料安全法で言う「家畜」とは、食用に供する経済動物を指しますが、「牛、豚、鶏、ウズラ、ミツバチ、ブリ、マダイ、銀ザケ、鯉、鰻、虹鱒および鮎」の12種に限定されているようです。そのため、養殖魚、馬、山羊、羊や伴侶動物(ペット)類には、この法律は適用されないようです。

飼料添加物とは、「飼料の品質の低下の防止等を目的として飼料に用いられる物で、農林水産大臣が指定するものをいう」と定義され、現在151品目が指定されています。飼料添加物の用途は、「1)飼料の品質の低下の防止、2)飼料の栄養成分の有効成分の補給、3)飼料が含んでいる栄養成分の有効な利用の促進」の三項目があります。

平成9年には、抗生物質アボバルシンおよびオリエンチシンが人体用抗生物質のバンコマイシンと類似の構造を有し、これらの添加物の家畜への使用がバンコマイシン耐性腸球菌VREの発現の原因になっていると言う懸念から、抗生物質アボバルシンおよびオリエンチシンは飼料添加剤の指定が削除されました。必要に応じて追加されたり削除されたりしているようです。

飼料添加物の種類

1.「飼料の品質の低下の防止」に用いられる飼料添加物。

a.抗酸化剤。配合飼料の原料としての動物性油脂や魚粉は、広く用いられているが、空気中の酸素により酸化または変敗が促進され、それにより飼料の嗜好性や栄養価の低下等を招くことがある。また酸化された過酸化脂質による家畜に対する毒性も問題となる。このような酸化の防止または軽減を目的に3品目(エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール)の添加物が指定されている。

b.防かび剤。飼料を長期間保存したり、または高温多湿の時期には、保管条件によっては飼料にカビが生えることがある。カビの発生を抑える目的で3品目(プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム)の添加物が指定されている。

c.粘結剤。飼料に添加することで粘結力を与え、成型を容易にしたり、養魚用飼料の水中での溶解を防止する目的で5品目(アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレンナグリコール、プリアクリル酸ナトリウム)の添加物が指定されている。

d.乳化剤。ほ乳期の子牛や子豚に溶かして与える飼料では、粉末状の飼料の乳化を目的で5品目(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル)の添加物が指定されている。

e.調整剤。有機酸を添加することによりpHを低下させ、不良発酵を抑制し、保管中も良好な品質を保たせる目的でギ酸1種類が指定されている。

2.「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」に用いられる飼料添加物。

a.アミノ酸。配合飼料に単体のアミノ酸を添加し、不足するアミノ酸を補給する目的で11種類のL−アミノ酸が添加物として指定されている。

b.ビタミン。飼料原料中のビタミンは、有効率の低いものが多いという理由から、L−アスコルビン酸以下31品目が指定されている。

c.ミネラル。ミネラルは、カリウム、マグネシウムとモリブデンなど以外は、飼料としての要求量を満たす量を添加する必要から、37品目が指定されている。

d.色素。まだい、ぎんざけ、にじます等の養魚用飼料の体表面や筋肉に色を付け用としてアスタキサンチン1品目が指定されている。

3.飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」に用いられる飼料添加物。

a.合成抗菌剤。発育促進や飼料効率の改善と原虫であるコクシジウムや寄生虫の駆除を目的として7品目が指定されている。

b.抗生物質。発育促進を目的に亜鉛バシトラシンをはじめとする22品目が指定されている。

c.着香料。飼料の香気を改善して家畜の食欲を増進させる目的で1品目が指定されている。

d.呈味料。味覚を刺激して嗜好性を増進させる目的でサッカリンナトリウム1品目が指定されている。

e.酵素。消化性を増進する目的でアミラーゼ等の12品目の酵素が指定されている。

f.生菌剤。健康を維持し、消化機能を向上させる目的でクロストリジウムブチリカム等の10品目27菌株が指定されている。

g.その他。有機酸であるフマル酸1品目が子豚の発育促進効果があるとのことで指定されている。

飼料添加物の安全性

1.家畜に対する安全性。

飼料添加物は、添加量が微量であることから、製造の基準と規格を順守していれば、家畜に被害をおよぼす可能性はない。飼料添加物を指定する場合は、各種の安全試験が義務づけされている。通常の使用量の10倍程度の濃度で連続東予市家畜への影響を調べる。一般毒性試験、特殊毒性試験(繁殖、催奇形性、催腫瘍性、変異原性など)、薬理試験、耐性菌出現試験等が義務付けされている。また対象動物の糞尿を介した自然環境におよぼす影響に関する試験も含まれる。

2.公衆衛生上の安全性。

有害畜水産物の生産の防止するため、飼料および飼料添加物の製造方法な゛とについては規格が設定されている。公衆衛生上の安全性の問題は、抗菌性飼料添加物の残留性と抗生物質を飼料に添加することによる耐性菌発現である。飼料添加物の食品残留性については、食品衛生法に基づく食品規格として「生肉、食鳥卵、魚介類は抗生物質のほか、抗菌性物質を含むものを食品としてはならない」と規定されている。

調べた後の印象。

法律というものは、素人が読んでも簡単に理解することは容易でありません。上に記載した文は、私なりに纏めた表現ですから、原文とは一致しません。原文を読む限り飼料添加物は、法律で規制されていますから、安全と考えるべきでしょう。しかし、この法律は、消費者サイドから作られたのではなく生産者サイドからの要望を獲り入れたもののように感じました。「如何に効率良く生産するか、そのためにはなにを加えるか」に基づいているような印象を持ちました。

最初に記載した飼料に添加物する目的(3用途)は、きちんと定義されています。それ以外の目的で飼料に添加されるものは、例えば、家畜の糞尿の消臭効果を目的に飼料に添加されるものは飼料添加物とは言えず、飼料の範疇に入れられるようです。

厚生省は、諸外国から輸入される新鮮な魚介類、野菜や果物をはじめとして食品の検査を植物検疫や動物検疫として実施しています。また残留有害物質モニタリング試験を毎年実施しています。しかし、一部の農畜産物や輸入品から抗菌剤に限らず有害物質の残留が認められることが新聞等から知らされることがあります。新鮮輸入品および農畜産物における抗菌性物質や有害物質の残留を防止し、安全な食品を消費者に提供することは、生産者と輸入業者の責務と思われます。

 

メールで受けた質問「病気で死んだ動物の骨」を飼料に添加することは適法か違法かの問題は、私が調べた限り良く判りませんでした。天然物ですから、飼料の成分と見なされるのでしょうか。しかし、スクレイピーで死んだ(または殺された)羊の骨をほ乳期の子牛のミルクに添加し、「発育を促進させる目的」とすると飼料添加物と認定することもできるような気がします。現在となっては規制されているのかも知れません。

飼料に添加が法的に認められている「生菌剤10種」の中に「バチルスセレウス」が入っていることを知りました。これは私にしては驚きです。なぜならば、この菌は食中毒等を起こす菌として有名なのです。セレウス菌を飼料と一緒に食った動物の糞にはセレウス菌が排泄されると思われます。その糞便によって農地や自然環境が汚染されることは否定できないと思います。セレウス菌の使用が法的に認められているとは不思議な話しです。皆さんはどのような印象を持たれたでしょうか。

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