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259.世界貿易センタービルの崩壊について.9‐152001

歴史的なテロ事件.

ケネディー大統領が暗殺された時、私はアメリカにいました。日本国内でも同時放映されたようですが、あの歴史的なテロ事件が発生した時は米国では勤務時間帯でしたが、最初はラジオの放送で、夜帰宅してからはテレビで見ていました。9月11日火曜日にNHKの10時のニュースを見ようと思いましたら、最初から世界貿易センターが黒い煙をだしている画像からニュースは始まりました。その後は、皆さんがご存知の通りです。

ケネディー大統領が暗殺された時、アメリカ人の愛国心の強さと大統領にたいする深い尊敬と愛情に感激と共に驚きを感じたことを今も記憶しています。今度のテロ事件でも、アメリカは大統領を先頭に国民が一団となっているのが良く解ります。対応も早いなと感心しています。日本は大丈夫でしょうか。

あのように高層ビルの消火活動は大変だろうと思って居ましたら、予想とは異なりビルが崩壊してしまいました。どうしてあのように簡単に崩壊するのか不思議に思っていました。丁度それに答えてくれる情報を一級建築士の方から貰いましたので、以下に記します。

なぜ世界貿易センター崩壊したか.

今から27年前、完成したばかりのツインタワーを訪ねた私は、設計者の日系人建築家ミノルヤマサキのこの建築に驚かされた。現代建築の特徴、「鉄とガラスの塊」だと思っていたのだが、実際見るとなかなか美しいではないか。圧倒されるというよりは繊細で親しみすら感じた。しかしすごいスケールだ。

建築家ミノルヤマサキは1912年シアトル生まれ。父親は富山県からの移民で、靴工場の工員だった。彼は高校生の時に、建築を学んでいた叔父(カリフォルニア大学)の影響もあり将来建築家になろうと心に決めていたそうだ。私と似ていたので、特に親しみを覚えている。苦学の末、ワシントン大学を首席で卒業した(これは私とは異なる)が、人種差別と不景気で建築に携わる事もなく、瀬戸物の包装などをして過ごす。以後、建築事務所を転々とし実績を積む。真珠湾攻撃の二日前に、日系二世のピアニストと結婚、開戦によっての暮らしは苦しかったようだ。しかし才能に恵まれた彼は終戦時の1945年にはデトロイトの大事務所で設計部長として腕を振るうことになる。

1949年に独立、セントルイスのランバート空港の設計をはじめ多くの学校建築などを手がける。1957年神戸のアメリカ総領事館の設計もする。特筆すべき設計ではないが、このとき来日して出合った日本の古建築、建築と庭園との融和などに驚いたようだ。今まで自分がしてきたことに対する反省に立ち、現代建築に欠けているものを見つけたと言っている。この旅行で日本を勉強し、インドのタージマハル、ベニスのデリケートなファサードなどにも感銘を受けている。その後、数々の名建築を設計し1962年シアトルで開かれた博覧会の池の上に浮かんだようにそそり立つ展示館の設計はワールド・トレード・センターに見られる試み、手法がすでにあらわれている。

シアトルのIBMビルではそれまでの高層ビルの構造方式を覆し、中央のコア方式(現在の高層ビルに多く採用されている)を開発した。ワールド・トレード・センター・ビルのタワー棟の設計では途中階にスカイロビーと称するエレベーター乗り換え駅を設けてエレベーターシャフトの数を減らし、有効貸室面積を増やしたり、新しい構造方式により強大な垂直荷重と風圧による水平荷重に効率よく対応するようにし、鋼材の40%節減に成功している。延べ貸室面積30万坪、毎日5万人が働き、8万人が訪れるという想像を絶する建物の完成に至ったのだ。1974年のこと。その後、東京の都ホテルの基本設計も行なったが、地震国日本では柱が太く彼の特徴である繊細さを表現できなかった。

今回の崩壊は何故起きたのか? 私は構造の専門家ではないが、友人の構造設計者などの話をもとに検証する。2棟のビルは110階建、高さは417m、鉄骨構造の建物だ。鉄は引っ張りには強いが圧縮には弱く曲がりやすい。コンクリートに比べ熱に弱いのもその特徴だ。余談だが鉄骨は精度のよい日本製とのこと。80階付近に突っ込んだ旅客機の燃料により、一瞬にして高温の火災が発生、衝突によりセンターコア部分、柱、梁、床などの構造が一気に破壊されたと思われる。一般の火事とは異なり高温の火災で鉄骨は溶けてもろくなった。700〜800度以上になると溶けはじめる。鉄骨には耐火被覆がほどこされているが多量のジェット燃料によりひとたまりもなかったろう。ジャンボ機でなく中型機であったためビル内に留まり被害をさらに大きくしたのだ。450度で鉄骨の耐力は2/3程度に落ち、スプリンクラーの水により冷やされた鉄骨はさらにもろくなり1/3程度になったのではないか。上層階は霞ヶ関ビル1棟程度の高さがあり、その荷重を受け、耐えられなくなって中央のコア部分の破壊があっという間にすすみ、外周りの柱梁が中央部分に引きずられるように壊れ、それが下階までつづいた。そして一瞬にして亡くなったのだ!

数千人いや一万人以上とも言われる人とともに。阪神淡路大震災を思い出すが、こちらは、憎むべきテロだ。それにしても思うのだが、世の中、人間的スケールをあまりにも逸脱した大きなものがなんと多いことか。人間らしさの感じられないもの、超高層の建築群もまさにそのひとつかも。私は微力ながら、自然・環境と調和したあたたかさの感じられる「空間」「建築」「まち」の実現をめざして頑張っている。

新宿の惨事もそうだが、このような場面に遭遇した時、どのような行動が取れるか?非常時の行動パターンは常日頃から訓練をしておくべきだ。幸いに生き残った場合には、その場所から一刻も早く離れる。「自分の身は自分で守る」これが基本だ。今日も数人の人が救助されているが、さらなる多くの人が救い出されるのを祈るのみだ。

<追伸>90階の中国銀行(日本)はヘルメットとマスクを用意してあり、全員がそれらを着けて非難したとの事です。備えあれば憂いなし。またエンパイヤステートビルならば上層階のみで、下階までのすべてが崩落はしなかったのではないでしょうか。

ワールド・トレード・センター・ビルについての資料は、下のURLから見られます。

http://www.asahi-net.or.jp/~cj4n-nkmc/d-data-k3.htm

              [完]

 

テロは憎いと思いますが、戦争をしなくて解決は出来ないのでしょうか、そんなことを考えなからテレビを見ています。ある日<War is not the answer(戦争で問題は解決しない、という意味?)>と手書きのポスターを胸の前に掲げ静かに立っている若い女性の姿がテレビに映し出されました。大声で奇声をあげることも「沈黙、冷静」もインパクトがあります。テロも戦争もない時代の到来を望みます。

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