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261.日本政府の呆れた狂牛病対策.10-5-2001.

「261.狂牛病の政府発表が判らない.9-28-2001.」に紹介した主婦の方への返事に代えて、英国で発行されている世界一権威のある学術雑誌「Nature」の記事を紹介します。原文は、Nature, vol. 413 P.333, 27 September 2001Japan’s beef scandalというタイトルで掲載されています。同じ記事が和訳されて「日本のとった呆れかえる狂牛病対策」という題名でホームページに掲載されています。興味ある方は、下に記すURLからお読みください。一頁少々の短い文です。(http://www.natureasia.com/japan/webspecial/bse/)

Natureの記事.

先週、日本国内で狂牛病が発生していたことが発覚し、これに伴って変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が起こりかねないという恐れが高まってきている。国民の健康が危機にさらされた際の日本国政府の従来の対応を見ていると、今回も適切な予防措置が確実にとられるとはとても信じられないというのが実状だろう。

牛肉は日本人の好きな食べ物であり、とくに若年層に好まれている。牛海綿状脳症(BSE)にかかっている牛が一頭見つかったことは、相当な不安を引き起こした。そして、ヒトがかかる神経変性疾患である新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の出現についての懸念が広がり始めている。この病気はBSEにかかった牛の特定の部分を食べることで起こると考えられているからだ。

この恐怖感をより差し迫ったものにしているのは、日本政府がこのような公衆衛生にかかわる事件の際に適切な処置をとるとはとても信じられないことがわかっていることだ。

1950年代から1960年代にかけて、水俣で起こった水銀中毒症(水俣病)を隠蔽し、その被害を拡大させたことについて、政府に共同責任があることは、そのもっとも明らかな例といえる。専門家はその地域にある工場の工業廃棄物によって汚染された魚が原因であることを突き止めていたにもかかわらず、政府は長い間なんの対応策も講じなかったのだ。その結果、続く数十年間にわたって、この病気による死亡者、あるいは一生の間廃疾状態のままとなる犠牲者が続出したのである。そして政府と当該の企業に対する訴訟は今でも続いている。

日本政府の対応の遅いことは、他の事件の場合にもよく示されている。1985年から1986年にかけて、血友病患者にHIV汚染血液製剤が投与された。これが起こったのは、安全なことがわかっている加熱処理血液製剤に当然切り替えられているべき時期よりもずっと後のことだったのである。また、厚生省は1997年になって遅まきながら、脳外科手術で使われる移植用脳硬膜について、ドイツで生産された汚染されたものの輸入と使用を禁じているが、これも米国食品医薬品局が対応策を講じたのにほぼ10年の遅れをとっている。そして、この移植用硬膜を使った外科手術を受けた患者の76人が、致死的なクロイツフェルト・ヤコブ病の変種の一つに罹患した。その数はまだ増えつつあるのだが、適当な対策がとられていれば、このうちの多くについては感染せずにすんだと考えられている。

今回のBSEについても、日本政府はまたすでにおなじみとなった手口をとろうとしているようだ。EUの執行機関・欧州委員会の担当官によれば、各国におけるBSEの危険を調査した報告書をまとめるのにあたって、発生の危険性が高いという委員会の評価はあたっていないと日本政府が主張したため、実質上その作成が阻止されたそうである。そして、政府が狂牛病にかかったウシが存在することをついに認めたときにも、報じられているように、農林関係省庁の官僚は伝染を防ぐためにその牛を焼却処分したと断言したが、結局はその直後に牛が飼料製造業者に渡されていたことを認めることになった。現在、彼らは原因の究明と食物連鎖における広がりの程度を見極めるために大騒ぎをしている。

1990年代初頭には、英国が自国で売れなくなった肉骨粉飼料を、けしからぬことに日本などのアジア諸国で投げ売りするという事態が起こった。今回、BSEがアジア、特にこうした肉骨粉を大量に輸入したインドネシアやタイに広がるのではないかということがかなり心配されている。日本は、高価だが必要なテストを行って適切な制限処置をとるための経済力と、規制に関する実際的知識を持っていると考えられる。この国は、流行の可能性がある伝染病を未然に防ぐのにどういう対策をとればよいか、それを日本ほど裕福でないアジアの近隣諸国に教えるモデルとなることもできたはずだ。ところが、日本は完全に遅れをとってしまった。他の国は、反芻動物から作った飼料を同じ反芻動物に与えることを制限する処置をとっているのに、日本は、場合によっては無視されてきたと報道されている、法的拘束力のない「行政上のガイドライン」で満足していたのである。日本政府がこういうガイドラインを強制力のある法規にまで格上げしたのは、狂牛病にかかった最初の牛が見つかった後になってからのことなのだ。

日本政府は欧州委員会の報告書を確証がないと考えられるとし、いたずらに大衆を動揺させるだけだろうと述べて批判した。この「科学的な証拠が無い」というのは、以前のいくつかのケースにおいても何の対応策もとらないことの口実として使われている。本当の理由は、政府と産業界、あるいは政府と医療機関が癒着していることだと考えた方がよさそうである。こうした馴れ合いは、関係省庁の官僚が退官した後に大企業に天下りすることで強化されることが多く、このような騒ぎのもととなるのだ。

日本は欧州委員会が提供しようとしたような、偏見のない評価を必要としている。そういうものに耳を傾ければ、国民にとって致命的にもなりかねない不適切な判断を下すこともおそらく無くなるのではないだろうか。Nature, vol. 413 P.333, 27 September 2001

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さて皆さん、この英国人の書いた文章を読んでどのような印象をもたれましたでしょう。外国人が何を言うか「ケシカラン」と思われたでしょうか。それとも別な感想をもたれたでしょうか。人により感じ方は違って当然ですが、上の文章をケシカランと感じた人の数は多くないと思います。私達の選んだ議員による政府は、国民や消費者のサイドにあるのだろうか、政府の発表はどのように解釈すべきか等と私個人には疑問が湧いてきます。「なにかおかしいぞ、日本」と叫びたくなります。

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