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279旅行者血栓症(エコノミークラス症候群)の予防. 4-8-2002.

エコノミークラス症候群は静脈血栓症

飛行機内で起こるエコノミークラス症候群については、「227.エコノミークラス症候群と218.航空機内での心臓発作の予防法」で一度紹介しました。今回もこの話題についての情報です。

エコノミークラス症候群」と俗に呼ばれ突然に死を招く恐ろしい病気は、飛行機のなかで長時間、同じ姿勢(在位)を取った後に起こる特徴的な静脈血栓症(旅行者血栓症)です。

この病気が発症する背景には、ます一万数千メートルの上空を飛行することから、静脈内での血液の流れが悪くなり、そのため血液が固まるのが亢進するという状況があります。下肢の静脈で血流の低下が起こると、静脈弁で血流が停滞し、逆流することにより徐々に血液の塊ができ大きくなります。肥大化した凝血塊は巨大な血栓となり、これが崩れて血流で全身に運ばれます。肺臓の動脈をふさいだ血栓は、非常に重篤な肺血栓塞栓症となります。

エコノミークラス症候群の発症率

実際に軽症では、本人は血栓がつまったという意識かないか、または軽いめまい息苦しさを感じてもお医者さんに診てもらわない場合もかなり多くある可能性が考えられます。

ある国際空港での調査によると、静脈血栓症や肺血栓塞栓症は乗客250万人に1人程度の割合で発症しているようです。飛行機にどのくらい乗っていると発症するのかについては、5,000キロを境に発症が目立つようになり7,500キロから10,000キロまでは乗客1,000,000人に対して2.6人で、10,000キロを超えると4.75人と、飛行距離によって発症率が上昇するようです。女性の場合は男性よりも発症率は少し高いようです。

7,500キロを超える飛行距離は、時間に換算すると約8時間以上となるようです。成田や関空からヨーツパロの都市まで直行便で出かける場合は、飛行時間は12時間を超えます。直行便は乗り継ぎがない便利さと途中での待ち時間がないのが長所でしょうが、8時間程度飛んだら一度休めるように乗換える便を使う方が健康には良いようです。

飛行機内の環境と静脈血栓症

エコノミークラス症候群は、少し高い料金を払ってビジネスクラスに乗っても、発症率は多分あまり変わらないと思われます。ではこの病気は、どのような事柄・要因が関係するのでしょうか。飛行機ないでの行動などとの関係から調べた結果を紹介します。

静脈血栓症や肺血栓塞栓症は、静脈内で血液がうっ滞する(流れが悪くなる)ことと血管ないで血液が固まることにより起こります。その要因として次ぎのような仮説が提唱されています。

10,000メートルを超える上空を飛行中の機内は、一般に低酸素状態で更に極めて湿度が低く10%またはそれ以下となるそうです。そのため無意識のうちに水分が足りなくなり、時間が余りすぎと感じたりまたはノドが乾いたと感じてアルコール飲料を摂取すると、地上よりは酔いやすく、アルコールの利尿作用からオシッコとして体内の水分が失われます。失われた水分の補給が充分でない場合が多く、また人によっては更にアルコールを飲む傾向が多いようです。低い湿度、アルコールの利尿作用と水分の補給不足が脱水状態を起こし、血管内を流れている血液の濃度と粘度を上昇させ、数年前までは人によってタバコを吸うので機内の低酸素状態と重なって、低酸素状態脱水状態が血液の凝固を促進させる。

低酸素状態は静脈を拡張させて、その上長時間におよぶあまり動かない腰掛けた状態の不動の姿勢などから静脈内の血液の流れが低下・減少する。心臓や肺臓に戻る血液がすくなくなることから肺臓でのガス交換能が低下し、心臓から押し出される血液量も少なくなります。さらに運動しない姿勢から「足のむくみ」が目立つようになり、こうして血流のうっ滞が起こります。静脈血がうっ滞すると、血栓ができやすくなります。このような因子や要因が機内という特殊な環境で重なり合い、静脈血栓症が起こると考えられています。

ヨーロッパまたは米国東海岸までの直行便では、機内で数回もの食事のサービスがあります。エコノミークラスであっても、飲み物の無料サービスが受けられます。アルコールが好きな人は、暇潰しをかねてかなりの量のアルコールを摂って、酔っ払ってしまう人も結構見かけられます。椅子に腰掛けた状態を長時間取りつづけると「足がむくみ」ます。アルコールの摂りすぎ、運動不足と水分不足が「エコノミーラクス症候群、即ち静脈血栓症」の原因となるようです。「食って寝て排泄する」だけでは危険が待っていることになりそうです。機外に出た直後に「めまいや息苦しさ」を感じたら空港内に待機しているお医者さんに一度診てもらうことをお薦めします。

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