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287. 不老長寿の遺伝子は存在する. 6-15-2002.

無病息災は遺伝?
 昔の王侯貴族は、金銭にいとめをつけずに不老長寿の秘薬を探していたようです。現代の私達も無病息災を願いつつ日々生活を営んでいます。第二次世界大戦後の日本人は、不老長寿の秘薬を手に入れたかのように、平均寿命が世界一となり、100歳以上の先輩達が全国で一万超人もいる時勢となりました。世の中には「カゼを一度も引いたことがない、肩こりを知らない、米寿になっても老眼鏡が要らない、80歳になっても全て自分の歯である」健康な人たちが大勢いるのです。

「金さんや銀さん」のように家族の1人が100歳まで生きている場合、その家族の兄弟や子孫の数人も100歳まで生きることは世界的によくあることなのだそうです。平均寿命が短い地域などは、栄養・経済状態の貧困や衛生状態の不備、過酷な労働、不慮の事故や感染などの条件が重なり合っていることがありましょう。それでも「長寿家族」が存在するのであれば、それには環境因子以外に遺伝的な背景も考えられるのかも知れません。


第4染色体に長寿のナゾ.
  米国の研究チームが科学的経験による直感に基づいて長寿遺伝子の研究を開始し、「非常に長命な人の家族のDNAを比較することで、長命の謎解きについての研究成果」を公表しました(PNSA 98:10505−10508,2001)。第4番目の染色体に秘密が隠されているらしいのです。不老長寿の秘密について概略を紹介します。米国で発行されているPNSAと言う雑誌は、米国学士院の紀要で、ここに掲載される論文は学士院会員かまたは会員の推薦を受けられる研究者に限られますので、一般的に評価の高い論文がおおくなります。

90歳以上の人が二人以上いる兄弟姉妹について、137家族(308例)の遺伝子全体の比較をした。400個の既知の遺伝子を指標として用い、兄弟姉妹が両親のみから受け継ぐと予想される遺伝子よりも有意に多い染色体領域を長命の兄弟姉妹が共有している領域が存在するのかを調べました。

その結果、95%の確立で、第4染色体に偶然に予測されるよりも有意に高い確率で現れる小さな共通遺伝子群(おそらく約500個の遺伝子)を長命者に見つけ出した。これらの遺伝子群のどこかに、わずかな変化によって平均寿命より長く生存し得るチャンスをもたらす数個の遺伝子があることを強く示唆すると記載されています。

100歳までも生きている人々は、加齢にともなう疾患に関連する遺伝子群に加齢による悪さをする遺伝子を幸運にも持たなく、さらに寿命が平均より20年も長生きできる遺伝子群を保有しているのではないだろうか。そのため活動的で健康を維持していると考えられる。

「長寿はいくつかの遺伝子の働きだけで説明するにはあまりにも複雑すぎる」とおおくの科学者は言うかもしれない。しかし、ショウジョウバエなどでは、数個の遺伝子を変更すると寿命が延長することから、ここに報告した結果が真実であることに賭けてみたい、と発表者は述べています。

上に紹介した論文の内容を更に推し進めると、不老長寿の遺伝子に辿りつけるものと期待されます。しかし、今後実証しなくてはならない成績は、対照となる人集団についても解析を加える必要があります。そうすると短期間には結論が得られそうにありません。この類の研究がいかに困難を伴うのかについて簡単な説明を加えてみます。 ヒトの遺伝子を対象とする試験研究には、個人の秘密にかかわる問題を含むため、充分な事前説明(インフォームドコンセント)と許可が必要ですし、更に倫理的な配慮がなされる必要もあります。本質的に物としての遺伝子は、巨大な代物なのです。

ヒトの細胞一個には46個の染色体があります。その染色体に含まれるDNAは、31億個のA、T、GとCからなる塩基対からなり、そこには約3万個の遺伝子があると云われています。そのDNAを一直線に引き伸ばすと、約1.8メートルの長さになります。31億個の塩基対を北海道から鹿児島までに相当する約3000キロメートルに引き伸ばしたとすると、一個の塩基対は約1ミリメートルの長さに相当し、その100メートルこどに10メートルの長さの遺伝子が存在することになります。

数個の遺伝子を探し出す操作は、3000キロの長さから数軒の家屋を探し出す操作にほぼ匹敵するのです。大変な労力を必要とする作業となります。いまヒトの遺伝子解析が国家を巻き込んだ研究者間で熾烈な戦いとなっています。 長寿を決定するナゾが第4染目の染色体にあるのかも知れません、アルツハイマーの遺伝子は第21番目の遺伝子に乗っていることが判っています。遺伝子という構造が判ってきましたから、これからはその働きへ科学のほこ先が向けられてくるものと思われます。

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