▲▲ ▼▼     

289とこずれと栄養.7-12-2002.
私事になりますが、義母は脳血管障害の後遺症から10年近く床につい ていました。入院していたときに病院で紹介してもらった付き添いの人に、在宅で治療を受けるようにな ってからも、引き続きお世話になりました。数年前にその義母は力尽きて生涯を閉じましたが、「とこず れ」がどこにも出来てなかったことに対して、付き添い人の介護の良さにお医者さんも敬服していました 。介護の仕方によって「とこずれ」を作らせないことも可能であることを示していると思います。
「とこずれ」のことをお医者さんは、「褥瘡」と書き「じょくそう」と 発音します。介護さえ良ければ、「褥瘡」ができることを避けることができ、既にできていたとしても治 せると多くの人達が信じていると思います。私達家族もその仲間です。ところが、介護で「とこずれ」が 回避できるというのは、大変な思い違いであることがドイツの医学雑誌に掲載されていました。「褥瘡に は、正しい献立が介護と同じくらい重要だ」というのです。
 「不十分なカロリー摂取と潰瘍の発生との間には、明らかな相関関係が 認められ、患者のカロリー摂取が少ないほど褥瘡リスクは高くなる」と報告しています。一 日あたりのカロリー摂取量が1,000kcal以下の患者では全例に圧迫性の褥瘡を認めたのに対し、 摂取カロリーが1,500kcalの群ではわずか4.5%に褥瘡を認めた。さらに、毎日1,500k cal以上を摂取している患者では、このような皮膚の障害は全く認められなかった。
 ドイツでは、最低必要とされる1日当たりのカロリー摂取量は、健康者 では体重あたり約25*kcal/kgで、褥瘡がある患者では30〜35*kcal/kgとむしろ増加する。体重が60kgの患者では、毎日1,800〜2,100kcalのエ ネルギーに加え、72〜78gのタンパクを摂取する必要がある、ところが褥瘡がある患者が実際に摂取 している栄養素の量、特にタンパクが少なすぎる。
 褥瘡患者が充分な栄養を確実に摂取するにはどうしたら良いのであろう か。動物性食物と豆類を多く摂れば、タンパク必要量はカバーできる。しかし、肉はかみ切りにくいし、 牛乳は人によってはお腹が痛くなるし、豆は消化されになどの問題が褥瘡患者には多い。魚と卵だけでは 栄養を確保するのは難しい。
 褥瘡の治療には、抗酸化作用のあるビタミン(A、CやE)、亜鉛やセ レンなどの微量元素、免疫系に影響するアルギニンや魚油などを含む「栄養ドリンクやタンパク補充ドリ ンク」の摂取を勧めている。
 最初に書きました義母は、もともと食が細く小柄な人でした 。非常に巧みな介護をしてくれた付き添の人は、常に義母の身体を動かし向きを変え、時には日当りの良 い廊下際に連れて行き、寝がえりをさせていました。これが良い介護と思っていましたが、実際は「栄養 バランスのとれた毎日の献立と必要充分量のカロリーの摂取」、さらには「適当な運動、マッサージと清 拭から血行を良くし清潔さを保つ介護」とが総合的に働いて褥瘡を回避させてくれたのではないかといま になって気がついた次第です。


*メールでご指摘を受けて、の部分を修正致しました。(H15/12/18)

▲▲ ▼▼     



Copyright (C) 2011-2017 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.