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303. 園芸用土や堆肥からレジオネラ菌が感染する11-22-2002. 

24時間循環式風呂の浴槽水にレジオネラ菌が多数存在し、浴槽で溺れると風呂水を吸い込んで肺炎を起こし死亡することは、いまとなっては目新しいニュースではなくなりました。浴槽中のレジオネラ菌数が多い割に感染する人の数はそれほど多くありません。これは不思議な現象ですが、今もって良く判りません。一般にレジオネラ菌といいますが、1種類の細菌を意味するのではなく、細菌学的には何種類もの細菌が存在します。国内で認められているレジオネラ菌による肺炎は、Legionella pneumophilaに分類される菌によることが多いようです。しかし、レジオネラ感染症のうち散発症例の場合、その原因や感染経路は判らない場合が多いようです。

幾つかの国で園芸用の土で感染した症例の報告がありますので、それらを簡単に紹介します。オーストラリアでは鉢植え用の園芸土45件を調べたところ、そのうち33件の73%からレジオネラ菌が分離され、その33件のうちの26件はLegionella longbeachaeと呼ばれる菌でした。英国で土19件を調査した結果は、Legionella longbeachaeは1件も分離されなかったそうです。日本では1998年に土17件が検査され、レジオネラ菌に属する31菌種が検出され、そのうち8件の47%からLegionella longbeachaeが検出されているようです。

米国でも園芸用植木鉢の土が関係するレジオネラ感染症の報告があります。レジオネラ感染者の77才の女性と45才の男性の気管支洗浄液からLegionella longbeachaeが検出されました。77才の女性は、発症する10日前から市販の土を使った鉢植えと園芸をしており、この家の鉢植えの土からもLegionella longbeachaeが検出されました。45才の男性は死亡し、家は調査前にすでに清掃されていてサンプルは入手できなかったようです。別な46才の女性がレジオネラ菌感染による肺炎で入院し、発症する10日前から鉢植えをしていたとの報告があったので、患者の喀痰と鉢植えの土および堆肥を調べられました。その結果、喀痰と鉢植えの土からLegionella longbeachaeが、堆肥からは別な種のレジオネラ菌が検出されたそうです。(MMWR 49(34),777-778,2000.

レジオネラ属のなかで一番病気を起す力が強いのはLegionella pneumophilaであるようです。ロングビーチという地名に由来するLegionella longbeachaeの病原性はあまり調べられていないようで、どの程度危険な菌種なのか判りません。

市販されている園芸用の堆肥や土がレジオネラ菌で汚染されていることを知らないと、レジオネラ菌の感染で肺炎になっても、土いじりが原因で病気になったと本人は気がつかないと思います。お医者さんから「なにか思い当たることはありませんでしたか」と聞かれても、植木鉢の土や堆肥をいじりましたと口にすることはないでしょう。とするとお医者さんは、次に同じような患者を診ても園芸用の土が原因であることに気がつくことがありません。

米国での堆肥は、日本で使われているような家庭用生ゴミ処理機から取り出される菌床を堆肥としたものではないと思われます。しかし、完全に自然界からの堆肥も必ずしも安全であるとは限らないことを頭のスミにいれておくことも自分の健康を守るために意味がありそうです。

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