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315. イチョウ葉エキスに効果なし.2-13-2003.

米国のある医療センターの記憶診療部(メモリークリニック)は、訪れる患者とその家族の多くから、処方箋なしで売られている薬剤としてのイチョウの葉からのエキスを4週間の服用で加齢による記憶力低下の遅延または回復させるとの宣伝内容のような効果があるのかとの質問を多く受けてきた。そこで市場にでまわっている処方箋なしで買える老齢者の注意力改善薬剤の精神心理学的なテストを実施してその有効性を客観的に評価することを目的とした研究を行った。

そこで230例の61才以上の高齢者を対象にして、製造会社が規定する用法と用量に従って、イチョウ葉エキス40mgを1日3回、6週間にわたり服用してもらった。試験開始時および6週間後に、学習と記憶、注意と集中力、名前を覚えている力と表出(簡単に説明するのは少し難しい専門用語です)言語について精神心理学的テストを参加者に行い、参加者自身および参加者と親しい配偶者、パートナーや友人に参加者の精神機能を主観的尺度で評価してもらった。

製造会社は、イチョウ葉エキスの効果は服用の4週間後から現れ始めるとしている。しかし、6週間の試験結果からイチョウ葉エキスの効果は、学習、記憶、集中力、名前を覚える力などに関する精神心理学的テストで認められなかった。また記憶機能について自己評価や、親しい人による全体的な評価も服用してない対照群(プラセボ)との差異はない、と述べているそうです

イチョウ葉エキスの効果
                                                                                                   

                                      有効効回答者数 (%)             

Ginko         Placebo   

 状 態                            n=110        =106           

非常に改善した         0 (0)        0 (0)

かなり改善した                   2 (2)        1 (1)

多少改善した                     31 (28)    35 (33)

変化なし                            77 (70)    70 (66)

多少悪くなった                   0 (0)        0 (0)

かなり悪くなった               0 (0)        0 (0)

非常に悪くなった               0 (0)        0 (0)      

イチョウ葉エキスGinkoの服用群(115人)と

見せかけ薬(対照としてPlacebo)の服用群(115人)を

対照とした試験結果.

天然物を含むすべての薬剤の効果に関する宣伝内容は、適切に実施された臨床試験の科学的に有効な結果により裏づけられることが非常に重要であると、この報告書は付け加えている。ハーブ製品についても、その宣伝内容を裏づけるデータが示されるべきで、それは厳格に行われた研究に基づくものでなくてはならないと主張しています。

ここに紹介した報告は、米国医師会雑誌(JAMA 288:835‐840、2002)に掲載されています。この報告書で大切なのは、「宣伝内容は厳格に行われた研究に基づくもの」との意味であります。近頃マスコミにはいろいろなエキスの類がガンを始めとする難病に効果があったとの表現が多く見られます。実際に体験した人のコメントも記載されていることもあります。「厳格に行われた」とは、その効果が偶然に起こったのではないことを示す成績が得られるような試験研究を言います。「服用したら治った」というのは、「服用しなくても治った」のではとの疑問に答えられず、科学的に証明したことにはならないのです。

健康食品、健康器具、ハーブ類や天然物剤などの宣伝内容は、何の根拠もない場合が一部に見られます。宣伝には十分に注意しましょう。些かでも疑問に感ずるところがあった場合は、根拠を正す必要があります。質問に対する説明が要領を得ない場合は、ジックリと考える時間をおきましょう。健康食品で健康を害したのでは何の意味もありません。「転ばぬ先の杖」と昔の人達は善いことを言い残してくれているではないですか。

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