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321. 役人の責任転嫁法. 6-26-2003.
 
役人に限りませんが、自分に問題があるのにその責任を他人に転嫁してしまう人が結構大勢居ると思えてなりません。私がツブサに体験させられた責任転嫁法の実態とその意味を皆さんと一緒に少し考えてみたいと思います。
 
ある地域に、「県と市、国のバイオ関係の省庁(複数)と地元企業」が一体となって地域産業を振興することをうたい文句に新しい組織を作りました。これまでの第3セクター方式と異なり、責任体制を明確にするため株式会社の制度を採用し、地元企業の経営者が代表取締役に就任しました。
 
萌芽的研究であっても、それが成功した場合には地場産業を振興する可能性がある研究に対しては「資金、設備および人的な助成」をする総合支援体制を目玉として立ち上げ、その制度を公表しました。私も研究助成制度を利用したいと願って水素に関わる研究課題を申請しました。審査期間が経過したある日、事務局から「審査結果を説明するから」来てもらいたいとの連絡を貰いました。
 
国の機関から出向してきている役人(思ったよりは平民的な印象を受けました)の課長さんが説明役を引き受けていました。申請者に対する最大限の対応をしているような雰囲気でした。
 
貴殿からの申請課題は、「時代を先取りした革新的な提案である」との結論に審査委員会は達した。しかし、萌芽的以前に「前例がない」ことが大きな障害となった。そのため「採用の対象からはずされた」というのが審査の経過と結論についての趣旨であったように記憶しています。
 
一言伺いますが、「前例がないから採用されなかった」との意味をもう少し説明してほしいと担当者に聞いてみました。それに対する応えは、各官庁の当該分野に申請された研究課題を調べた限り「貴殿からの研究内容に近い研究が申請され採用された前例がない」ことが判ったというものでした。
 
国に申請する研究課題は「ある程度の実績がすでにあり、将来展望があるていど見える研究」であり、今回の新会社への申請は「萌芽的研究で、これから詳細を検討する研究」であるから、調べなくても前例がある筈がないと思うと付け加えた。
 
「前例がないと不採用」にする本当の理由はなんなのですか。あなた方は、「前例がないと評価できない、評価できないから不採用」にしたのですかとも聞いた。なんにも言わないので、40歳代の偉い人に向かって、「貴方は結婚するときに前例があったのですか?」、「何事にも最初があるのです、最初は誰かが作るものです」。例えとしては言葉が悪いかもしれないが、「質やの店主の方が審査委員などよりは、よほど価値を見抜く力と責任感があります」、これらの出し抜けな質問に彼は何とも反応しませんでした。
 
私には解りましたよ、あなた方審査委員と称する人は、「前例がないと自分達の責任になるので、どうしていいかの判断に迷う」のであって、結局「あなた方は自分に評価する能力がない」ことを「前例がないから評価できない」としているのです。解りやすく表現すると、「個人が責任を持って判断する能力がない」とは決して言わないで、「前例がない」とうい表現に責任を転嫁しているのです。
 
シリコンバレーで仕事をして失敗と成功を体験した知り合いの人に、シリコンバレーがどうして元気が良いのかを聞いたことがあります。その人が言うには、「失敗を恐れない、失敗を成功の糧にする、失敗しないと自分の能力の限界が判らない」などを高いお金を払って体得した。これまでの日本では、「失敗は絶対に避けるべき事と考えられ、一度でも失敗すると出世競争にも影響するので何とか隠蔽しよう、または秘密裏にもみ消そう」とする傾向が強く感じられる。このような社会環境では、本当の実力社会の到来はおぼつかないと思われるし、また多くの企業が表面上は業績主義と言うけれど、職位を超えた双方向の評価システムが定着しないと、業績主義は賃金を低く抑える手段でしかありえない。
 
年功序列社会では、個人の能力はあまり出世の基準にはならず、失敗がなければ年齢に応じて順当に出世できるのです。これを何とか打ち破れませんかね。良い智恵を授けてください、お願いします。

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