323. 慢性C型肝炎の人種差. 7-31-2003.
血液製剤によりC型肝炎に罹ってしまった人が多数存在することが判ってきたようです。ウイルス性の病気であるC型肝炎は、幸いにしてインターフェロンが効き、医療保険でも採用されています。ところがどうした訳かC型肝炎の人の全てがインターフェロンの恩典を受けられるとは限りません。ある程度の期間インターフェロンを投与しても効果が現れない人がかなりの高率で存在します。著名な効果が見られない患者さんは、保険でその後のインターフェロンの使用は認められなくなります。インターフェロンの人に対する治療効果は、その人のどのような要因と関係するのでしょう。薬の効果を判定する因子はなにかを知りたいのです。
日本と違って米国では多民族が寄り集まって生活環境を形作っているので、このような人種間でのC型肝炎の治療の効果はどのようになっているのかに興味がありました。Medical Tribune(6月26日)に私の疑問に答える報告が掲載されていました。
米国では白人に比べてアフリカ系米国人(先住民の俗にいうインディアン含まれない)は、C型肝炎治療に対する反応が不良であるらしい。米国では約390万人がC型肝炎ウイルスに感染しており、このうち270万人は慢性の感染症である。C型肝炎新規患者は1980年代の年間平均で約24万人から2001年には約25,000人へと減少してきました。しかし、アフリカ系米国人では感染者が増加しており、40才代の男性では約9%がウイルスに感染しているそうです。
アフリカ系米国人のC型肝炎罹患率は、白人に比べて2倍高いが、現在の治療法はアフリカ系米国人にはあまり効果を示してない。インターフェロンとリバビリンを用いた併用療法では、白人患者の37〜52%に反応がみられたが、アフリカ系米国人では21〜32%が効果を示した。なぜ反応に違いが生まれるのか判らないが、人種により異なるのは、ウイルスのゲノムではなく感染者個人の因子であるらしい。
狭い日本国内でも長寿で健康なお年寄りが多い県とそれなりの県があるようです。これらは必ずしもその地域の気候や食べ物だけによるとは限らないようです。このような違いの研究に、米国などへ移住した日系人が国内で生活している日本人またはその国の住民の対象によく使われます。その場合、人種としての違いは現れても出身地または生活地による違いがでた成果はあるのでしょうか。例えば、沖縄県人は、米国でも本土でも沖縄に住んでいる人達と同じように長寿者が多いのでしょうか。どなたかこのような情報を教えてくださいませんか、お願いします。