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328. 西ナイルウイルス感染者の症状. 8-29-2003.
 
これまでに北米で感染症例が存在しなかった西ナイルウイルスの感染者が多数発生し、社会的にも公衆衛生的にも話題になっていることは読者の皆様も記憶にあると思います。日本国内にも西ナイルウイルスが航空機などを介して導入され、媒介蚊が定着すると感染者が出る可能性が危惧されてはいます。しかし、いまのところ国内での感染者はゼロの状態ですから、西ナイルウイルスの感染者を診たお医者さんはいないものと思われます。このことは米国でも似たような状況で感染者が発生していますが、一般のお医者さんは西ナイルウイルス感染者を診たことがないので、どのような症状を呈するのかもかならずしも良く判っていません。
 
多様な症状を示す西ナイルウイルス感染.
米国疾病管理センターの発表によると、「西ナイルウイルス感染者の多くは特有な症状を示さないが、まれに感染が重症となり死亡する例もある」となっています。それで重症化して死亡した症例での症状についての報告を調べてみました。
 
来院時の症状は、発熱100%、知覚の変化74%、頭痛48%、悪心と腹痛44%、四肢の疼痛35%、発疹26%であり、西ナイルウイルスに対するIgM抗体が陽性であった。更に半数は弛緩性筋力低下を伴う髄膜炎または脳炎を示し、患者の30%は低ナトリウム血症が認められた。中枢神経系の西ナイルウイルス感染として入院した患者の神経症状は、髄膜炎、脳炎、脊髄炎で、主訴は発熱、錯乱、頭痛が多いが、半数の患者ではその後弛緩性の筋力低下、急性麻痺、呼吸筋障害が急速に進行した。死亡例の解剖から、ウイルス感染の兆候である脊髄灰白質の炎症および脊髄前角(運動領域の神経)の死細胞周囲への炎症細胞の集積が認められた。筋力低下、急性麻痺と呼吸筋障害などのポリオ様症候群を示す患者は、西ナイルウイルス感染の可能性があることを医師が認識しておくことが重要との指摘もありました。
 
これらの症状から、患者の半数以上は脳卒中、パーキンソン病、ポリオ、ギラン・バレー症候群と似た症状を示し、残りの患者は特徴的な症状を伴わない髄膜炎や脳炎を示したことが判ります。(MT03-6-26)
 
日本国内では衛生状態の整備や媒介カの減少などから、幸いなことにポリオ患者も日本脳炎患者も近頃はほとんど発症例がなくなりました。このような真空状態で西ナイルウイルス感染者が万が一にも発生すると、西ナイルウイルスの感染した人が大学病院や総合病院を訪ねたとし場合であっても、確定診断がつくまでにかなりの時間がかかりそうな気がします。新型肺炎のように人から人への感染は、西ナイルウイルス感染では常識的には考えられないので、医療従事者や感染者の周りの人達が感染する可能性が低いことは幸いです。

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