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354. 輸血とヤコブ病. 4-10-2004.
 
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は減少傾向
英国の記録によるとウシ海面状脳症(BSE)の病原体により引き起こされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD、変異型ヤコブ病)による死亡者数は、2000年の28人を最高に、2001年は20人、2002年には17人と減少傾向を示している(Lancet 361:751-752,2003)。しかし、これで安心・安全と考えるのは少し早すぎるようです。今後外科用器具の汚染や輸血を介して、ヒトからヒトへと伝播するリスクが高くなることについて警戒が必要があるからです。
 
輸血を介した世界初の感染例
輸血を介した変異型ヤコブ病のヒトからヒトへの世界最初の感染例が英国で報告されました。それ以来、ヒトからヒトへの感染の再発を食い止めようと必死の努力が続けられています。その世界初の感染例とは、変異型ヤコブ病因子(プリオン)の保因者(保菌者に相当する用語)で1999年に死亡した献血者から1996年に輸血を受けて変異型ヤコブ病で2003年12月に死亡した患者の報告から必要な対策が王立医科大学の医学研究審議会の統計学部門長のバード博士が提唱しています。
 
下に記すような対策を直ちに実施する必要性を指摘しています。
  1. 変異型ヤコブ病の蔓延を防ぐため、変異型ヤコブ病因子で汚染された血液の輸血を受けた可能性のある人々を確認する、
  2. 感染の拡大を防ぐため、変異型ヤコブ病因子で汚染された血液の輸血を受けた可能性のある人々に対して直ちに警告する、
  3. 手術前に汚染血液を輸血された可能性のある外科手術患者を把握する、
  4. 変異型ヤコブ病のリスクが高い人々に助言し相談を受ける、
  5. 不注意または意図的な感染について必要な法律を整備する、
  6. 臨床研究に参加し、変異型ヤコブ病の感染リスクが高い人々に情報を周知する。
バード博士は、変異型ヤコブ病の感染リスクがあると思われる感染経路は、輸血だけでなく、母親から胎児あるいは性的関係にあるパートナー間、外科医や歯科医の手術器具まであると述べています(BMJ 328:118-119,2004)。恐ろしい話です。
 
変異型ヤコブ病は、これまでに血液検査で確認する体制ができあがっていません。また変異型ヤコブ病の患者に用いた手術器具は廃棄処分する必要がります。更に変異型ヤコブ病の感染リスクが高い輸血または血液製剤の投与を受けた患者は、変異型ヤコブ病に罹患した患者と仮定して管理する必要があるだろうと述べています。
 
国内での変異型ヤコブ病
一方、国内でのクロイツフェルト・ヤコブ病の年次別死亡率は、過去20年以上にわたり増加を続けているそうです。この背景には診断技術が高く広くなってきたことにもよると考えられています。
 
2003年3月までに報告されたプリオン病は全国で409例になり、その内訳は、弧発性クロイツフェルト・ヤコブ病が324例(79.2%)、遺伝性プリオン病は49例(12%)、感染性プリオン病39例(8.8%)で、変異型ヤコブ病の報告はこれまでにないそうです。
 
輸血や血液製剤で変異型ヤコブ病がヒトからヒトへ伝播し、その感染が拡大することだけはなんとしても防がなくてはなりません。しかし、エイズのHIVやB型肝炎のHBVのように血液の検査で汚染血液を排除できない現状では、献血された血液が変異型ヤコブ病因子で汚染されていることの確認ができない訳です。プリオンは、培養して増やすことが難しく、更に核酸を持たないため核酸をPCR法で増幅することもできません。さてどうすればよいのでしょう。

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