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357.「米農務省の食肉安全対策について」を読んで. 5-15-04.

曖昧模瑚を定期的に開き、私の作文の表現や内容について大所高所からコメントを送ってきてくださる有難いレフリーのような方が数人おられます。そのなかのお一人から「356.米農務省の食肉安全対策について」を読まれて、非常に興味ある内容のメールを頂きました。そこで久々に読者から寄せられた意見をここに転載いたします。
 
1.「米農務省の食肉安全対策について」を読んで
今回の「356.米農務省の食肉安全対策について」の内容に関しては、色々話を聞いておりました。科学的でない主張をする国から「科学的根拠が無い」などと言われたくないと私の周りでは言っています。問題の要点は幾つかありますが、数理統計的な見方が全く出来ていない、或いは、故意に無視しているということでしょうか。

プリオンの検出限界の話はさておき、数理統計的な見方について考えてみます。仮に、牛が10000頭いたとして、その内の100頭が汚染されていて、これは検出可能だったとします。汚染率は1/100なので、一見、100頭を抜き取り検査すればいいように思えますが、これは正しくありません。100頭程度ではたまたま、汚染牛が引っかからないという事態が発生します。それでは、1000頭ならいいかと言えば、これでも、偶然汚染牛が引っかからないという事が有りえます。この様な事態が発生しますので、通常は、危険率何%で、とか有意水準何%でという前書きをつけてサンプリングをします。

例え、9000頭検査しても、やはり汚染牛が全く引っかからない可能性が残っています。ですから全頭検査に勝るものはありません。もし、汚染率が更に小さければ、な
おの事、サンプリングで引っかかる可能性は低くなります。

それから、スクレイピープリオンに汚染された飼料を食べなくても自然発生的にスクレイピープリオンが発生する事もあるそうです。そうなってくると、汚染飼料の追跡(これも米国ではできていない)と可能性のある牛の検査だけでは不十分になります。やはり安全を期すなら全頭検査が必要でしょう。

また、米国では、牛の解体がいい加減なので、脳や脊髄などの危険部位が混ざっているとの話も聞きます。そうであれば、なおの事全頭検査して安全策を強化すべきではないでしょうか。

それにしても、米国牛が危険だと解り、輸入禁止にしたとたん牛丼屋に殺到したのはどういう事でしょうか。これが同じ日本人なのかと思うと、何ともやりきれない気分です。
本来、米国牛が危険だと解ったら、その時点で在庫を全て処分して、国民の健康を守ろうとするべきだと思うのですが、日本全体に危機管理意識が欠如しているという事の現れでしょうか。                             終わり

2.「米国では新型CJD患者が13名死亡」の新聞記事を読んで
危険な米国牛を食べた米人から新型CJD患者が発生し、既に13名も死亡しているかのような報道記事が新聞(平成16年5月9日)に掲載されていました。この記事についてもコメントを貰いました。ここに転載させて頂きます。
 
5月9日の読売新聞と産経新聞に「米国では新型CJD患者が13名死亡」と同じ記事が載っていましたが、微妙に内容が違っていますので、両方を見ながら書かせていただきます。

まず、記事の内容を整理してみます。
1. ニュージャージー州の特定の競馬場のレストランで食事した人が新型CDJで13人死亡した。
2. 米厚生省とニュージャージー州の保険当局は、「BSEとCDJによる死因の関係を示す証拠は無かった」と調査結果を発表して調査を打ち切る方針。
3.CDJの発生確率は百万人に一人。これを上回っている(読売)、55歳以上で百万人に四人。これより特段に高くは無い(産経)。

多分、最大の関心は、BSE感染牛を食べて感染したかどうかと、米厚生省とニュージャージー州の保険当局の判断が正しいかどうかでしょう。

最初に、CDJの発生率について考えてみます。百万人に一人とか、百万人に四人とかいうことですが、米国人の全数調査をしている訳ではありませんので、適当なサンプル調査をして割り出したものだと考えて差し支えないでしょう。その調査方法が解りませんので、信用できる数値かどうは闇の中です。

ここで問題となるのは、記事の状況から考えて、CDJの自然発生率です。調査をしても、元々BSE感染牛を食べている集団を調べて発生率を出しても意味が無いので、調査の母集団は菜食主義者に限るべきです。全数調査をするか、サンプリング調査をするかは別として、菜食主義者のCDJ発生率と、そうでない母集団とのCDJ発生率をまず調べて比較する必要があります。ただし、菜食主義者が十分に大きい集団かどうかという問題もありますが。もしこれで、菜食主義者より発生率が有意に高ければ、既に、みんな汚染牛を食べている可能性が出てきます。ただし、肉食そのものがBSE発生率に寄与している可能性もあるので、別の調査も必要になりますが。

これが背景ノイズになりますが、既に、背景ノイズに汚染が入っていたのでは、競馬場のレストランで食事した人との比較をしても何の意味もありません。

次に、競馬場で食事をした人に関してですが、競馬場に出入りしている人は特定の人でしょうから、特定の人が何度も食事をしていると考えるべきでしょう。食事の数から人数を割り出す事は不可能です。何百万人も競馬場で食事をしたというのは大いに疑問です。

CDJで13人死亡したというのが多いのか少ないのかはこれだけからでは全く解りません。その上、背景ノイズそのものに汚染が入っているかどうかも不明ですので、一体何を比較しているのかも不明ということになります。

結局のところ、不明なことばかりですので、BSEとCDJの関係を示す証拠はありません。また逆に、BSEとCDJの関係を否定する証拠もありません。これで調査を打ち切るなどと言うのは筋違いで、信頼に足るだけの再調査をして白黒付けるべきです。

いつもそうですが、危険であるとの根拠が無いから安全だなどとの論理がまかり通っています。しかし、この論理こそが非常に危険です。安全だと思って油断していたら、実は危険であると実証され、莫大な被害が発生した例を今までにも見てきたでしょう。安全であることが実証されない限り、危険であると考えて十分な対策を立てておくべきだと思います。もし、安全性が証明されば、単に警戒のしすぎということで済みますが、油断していて被害にあっては目も当てられません。             終わり

インフルエンザワクチンが足りないとシーズン中は報道されていたように記憶していますが、インフルエンザが終息してみると未使用(=余った)インフルエンザワクチンが大量に回収されたとの記事を新聞で読みました。「在庫管理ができないのか、または自己中心的な利己主義からか」は判りませんが、結果としては、弱い立場の患者を治療する医療機関に「弱い患者にたいする思いやりや心配り」の欠如を如実に語っているものと思います。このような人間としての気配りの足りない医師が医療事故を起こしているのかもしれません。
科学的でない主張をする国から科学的根拠が無いなどと農水省は言われ、国民は危険かもしれない米国産牛肉を使った牛丼を求めて殺到し、牛丼屋は危険かもしれない米国産の牛肉を廃棄する代わりに日本人の胃袋に納めて処理してしまった。国内第1号のBSE牛が見つかった時、農水大臣や人の上に立つ人々は、プリオンに汚染されているかもしれない牛焼肉を人前で食べて「安心です」とのデモンストレーションを見せた。BSE牛が米国に発生した今回は、誰もが「安全、安心」というデモンストレーションをやらない。危険と感じているのでしょうか。
私が「356.米農務省の食肉安全対策について」を曖昧模瑚に掲載しましたら、「米農務省の食肉安全対策について」を読んで、と「米国では新型CJD患者が13名死亡」の新聞記事を読んで、というコメントを頂きました。これらの文を読まれた皆さんは、どのような印象、意見や希望をもたれましたでしょうか。皆さんからのお便りをお待ちしています。

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