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365. オーラルセックスと扁桃腺ガン. 5-10-2004.
 
同性愛とオーラルセックス  
ドイツ・ベルリンのローベルト・コッホ研究所のマーカス博士は、HIV感染リスクが高い性行為は以前より減少しているが、梅毒や淋病の感染率は上昇していると報告しています(MT.16-4-28,p3)。
 
1996年以降、同性愛者でのコンドームの使用は減少傾向にある。最近の傾向としては、HIV感染リスクが低いと思われているオーラルセックスなどをコンドームなしで行っている場合が多い。同性愛の性感染症患者1129例を調べた結果、避妊具不使用のアナルセックス(HIV感染リスクがきわめて高い)を実行している患者は60%以上であった。行きずりの相手とは避妊具不使用のアナルセックスよりは避妊具不使用のオーラルセックスをしていたと答えている。薬物(アルコール、大麻、エクスタシー、ポッパーやコカインなど)の使用は、避妊具不使用のアナルセックス(感染のハイリスク)を受け入れ易くしている。
 
オーラルセックスと扁桃腺ガン
ドイツ・ケルン大学の耳鼻咽喉科の研究によると、ヒトパピローマウイルスは子宮頸部ガンの原因となるだけでなく扁桃腺ガンの原因となる可能性を報告しています(JNO52:208-218,2004、MT16-6-24)。 
PCR法を用いた研究では、扁桃腺ガン患者の53%からヒトパピローマウイルスの遺伝子DNAが検出され、その90%以上が高リスクの16型ウイルスで18型はまれであった。顕微鏡をもちいた組織検査で、口腔粘膜に異常が認められなかった群ではヒトパピローマウイルスの遺伝子DNAが検出されたのは10%にすぎなかった。更に血清学的検査では、ヒトパピローマウイルス16型に対する免疫抗体が陽性者における扁桃腺ガンのリスクは対照者群の10倍にも達した。
 
ヒトパピローマウイルス陽性の扁桃腺ガン患者では、ヒトパピローマウイルス陰性例の扁桃腺ガン患者と異なり、ガン細胞の増殖抑制作用をもつ阻害物質の過剰発現があり、扁桃腺ガン患者の生存率は比較的良好であることが特徴であると述べている。
 
ヒトパピローマウイルス陽性の扁桃腺ガン患者では、性的パートナーの数が多く、オーラルセックスの頻度か高い傾向が認められた。口腔洗滌液から高リスクのヒトパピローマウイルスが検出されていることから、ヒトパピローマウイルス陽性の扁桃腺ガン患者に対しては、口腔内洗浄の実施が治療に有効かもしれないと述べています。
 
子宮頸部ガンは、ヒトパピローマウイルスによるウイルスの感染による疾患と考えられています。女性は性行為を介して男性から感染していると推測されてきました。実証することはなかなか困難でした。ここに紹介しました二編の研究報告より、同性愛者がHIV感染のリスクを低くするためにオーラルセックスを実行していること、ヒトパピローマウイルス陽性の扁桃腺ガン患者はオーラルセックスの頻度が高いことが判りました。オーラルセックスを実行することで、HIV感染のリスクは低くなっても、梅毒や淋病(多分B型肝炎も)の性感染症や扁桃腺ガンのリスクが高くなるようです。どちらのリスクも高くあっては困りものです。なにかを犠牲にしてなにかを選択することなのでしょうが、自業自得・自己責任であることには間違いないのですが、命を犠牲にしてなにかを得るだけの価値があるのでしょうか。

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