375. 大豆サプリメントの効果.9-6-2004.
男性の糖尿病性腎症で有効
イリノイ大学栄養学科のS.R.Teixeira博士は、53〜73歳の糖尿病性腎症の男性患者14例を対象に「大豆タンパク・サプリメント」の効果を調べた。バニラ味の大豆タンパク質投与群と動物性カゼイン投与群に無作為に分け、食事にタンパクの1日摂取量の半量となるように加えた。栄養学雑誌(134:1874-1880,2004)に掲載されている報告によると、大豆タンパク質投与群では、尿中アルブミン排泄量が9.5%減少し、HDLコレステロール値は4.3%改善された。一方、動物性カゼイン投与群では、尿中アルブミン排泄量が11.1%増加し、HDLコレステロール値は軽度ではあるが低下した。大豆タンパク質の添加が有効であった理由は、大豆中のイソフラボンはエストロゲン様物質であることから、イソフラボンが脂質の改善に関係しているのではと述べています。
女性の骨密度では無効
ユトレヒト大学医療センターのS.K-Kaspers博士は、60〜75歳の健常女性(閉経後)202例を無作為に2群に分けて大豆サプリメントの効果を調べた。99mgのイソフラボンを含む大豆タンパク質25.6gの摂取群と粉末の牛乳タンパク質摂取群に食品または飲料に混合して毎日1年間摂取した。治療開始前と1年後に、数種類の認知機能試験と骨密度の定量と血漿脂質の測定を行った。その結果、イソフラボン含有大豆タンパク質を1年間サプリメントとして摂取させたところ、認知能力、骨密度、血漿脂質値に効果は見られなかった(JAMA292:65-74,2004)。
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることから色々な分野で注目されています。エストロゲンは、別名発情ホルモンです。女性ホルモンであるエストロゲンは、男性でも僅かながら検出されます。しかし、閉経後の女性のエストロゲンは、男性のレベルより低くなるようです。欧米では日本人の長寿、骨粗鬆症や更年期障害、乳がん等の発生率の低さの秘密は、大豆イソフラボンだとしている研究者も欧米にはいます。いま日本では、サプリメントの大流行期に突入した感があります。サプリメントの一つに大豆タンパクがあり、イソフラボンがあります。インターネットに限らず情報媒体にイソフラボンについての本当かなと思う情報は腐るほどたくさんあります。男性と女性を被験者にした大豆タンパク質イソフラボンのサプリメントとしての効果についての報告を紹介しました。タンパク質の含量が高いので有名な大豆のイソフラボンであっても、なんにでも効くとは限らないようです。また摂りすぎにも注意しましょう。