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378. イワシのヘルペス病. 10-20-2004.
 
コイヘルペスとはニシキコイのヘルペスウイルスであることを「373. コイヘルペスウイルスはどこから来た」で簡単に紹介しました。これに対して幾つかのリスボンスがありました。ある人たちは素朴な疑問として「自宅の庭にある小さな池で数多く飼育している錦鯉や緋鯉の環境と違って、コイからするととてつもなく大容量の水環境である湖、池や川でちっぽっけな存在である鯉が次から次へとウイルスの感染を受けるとは信じがたい」との内容のメールを送ってきてくれました。
 
国立大学のある先生は、もっと積極的な内容の情報を送ってきてくれました。それは海でもウイルスがものすごい量で存在していることが近頃判ってきました。例えば、オーストラリアの沿岸でイワシの仲間が大量に死ぬ出来ことが繰り返し起こっています。インターネットで直ぐに調べられるように下のURLを付記してくださいました。

Animal Health Surveillance Quarterly ; Volume. 3, 1998; Pilchard mortalities in Australia. 
http://www.aahc.com.au/status/ahsquarterly/1998/ahsq98q4.pdf

Oyster Research and Restoration in U.S. Coastal Water, Abstract 2003.
http://www.mdsg.umd.edu/oysters/meeting/abstracts/abstract05.html
これまでに私の知らなかった情報です。
オーストラリアの報告書を読んでみると、概ね次のようなことが記載されています。1998年の10月に南オーストラリア沿岸でイワシの仲間(私が魚類の知識が乏しいので“Pilchard”と書くイワシの種名が判りません)の大量死が起こり、緊急動物疾患に関する国家諮問委員会(The Australian Consultative Committee on Emergency Animal Diseases)が国の問題として取り上げた。1995年にもオーストラリアとニュジーランドで同じようなイワシの仲間の事件が起こっている。1998年のイワシの病状は1995年の疾病と似ており、イワシのうちPilchard種だけで認められ、感染死の大部分は成魚であった。
 
電子顕微鏡で調べるとヘルペスウイルスが観察され、このウイルスによってイワシのエラが侵され、エラ上皮が肥厚し呼吸困難による窒息死へと誘導されるようです。ヒトへの感染は起こらない。

イワシのヘルペスウイルス感染は、オーストラリアのかなり広範囲の沿岸にまで拡大しているようです。イワシは食物連鎖の底辺を支える貴重な魚種であることを聞いたことがあります。そのためイワシが減少するとそれより大型の魚類も減少するようです。日本国内でのヘルペスウイルスによる海水魚の感染は、また報告がないと思われます。しかし、日本でウイルスや細菌による疾患が水圏動物に起こると、水産養殖専門家がそれに対応するのか獣医師が対応するのか、難しい問題もあるように聞いています。いずれの専門家集団が対応するにしても、ウイルスに限らず水圏の微生物学の裾野は広くなく、ウイルス学の専門家は何人もいないのではないかと危惧されます。

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