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382. SARSワクチン2題. 11-10-2004.
 
鳥インフルエンザとSARSは、ともにウイルスによる病気で、この病気が人集団で拡がることが心配されています。万が一にも大流行がおこったらそれこそ取り返しがつかないような被害をこうむる可能性が危惧されています。SARSの感染を予防できるかもしれない報告がありましたので、簡単に紹介します。

SARSワクチン
アメリカのNational Institue of Health 国立衛生研究所は、SARSの原因体であるSARSコロナウイルスの感染を防御するワクチンについて発表しました(Lancet 363: 2122 ? 2127, 2004)。このワクチンは、SARSコロナウイルスに対する感染防御抗体の産生を誘導する抗原を作る遺伝子を取り出し、この遺伝子が抗原を作れるように病原性の弱い別なウイルスに組み込んだ生ワクチンのようです。
アメリカ国立衛生研究所の研究員は、アフリカミドリザルを用いて、ワクチンウイルスを経鼻投与する予備実験を実施し、ワクチンの単回投与で感染に対する防御効果が実証されたと発表したのです。この試験には、4頭のアフリカミドリザルにワクチンを一回だけ経鼻投与し、別な4頭のサルを比較対照とした。一ヵ月後に8頭のサルにSARSウイルスを感染させました。ワクチンを接種された4頭のサルは、血液中にSARSコロナウイルスに対する免疫抗体が作られていることが検出され、接種したウイルスが排出されている証拠は4頭のサルの呼吸気道に認められませんでした。一方、対照群の4頭ではSARSコロナウイルスに感染してから1週間程度の期間にウイルスが排出されていることを示す証拠が認められた。これらの予備実験で「ヒトへのSARSコロナウイルスワクチンの可能性を示唆する」と述べています。
 
SARSウイルスの免疫抗体
オランダのCrucell Holland社は、「フェレットを用いたSARSコロナウイルスの感染実験で、SARSコロナウイルスの感染力を中和するヒトの中和単クローン抗体をフェレットの体重1キロに対して10mgを投与したら、感染フェレットにおけるSARSコロナウイルスの増殖を大幅に低減でき、ウイルスの咽頭部からの排出を防止した」と報告した(Lancet 363: 2139 ? 2141, 2004)。
 
これらの2題の報告は、動物の気道粘膜に免疫を付与することで、SARSが有効に予防されることを示していると考えられます。しかし、この考え方をヒトに適応できるようになるまでには、安全対策や有効性など更なる検討が必要でしょうが、結果としては将来に対する明るい魅力的な方策を提供していると思われます。

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