386. 変異型ヤコブ病の日本人初症例について. 2-20-2005
少し過激な発言になるかも知れません。しかし、他人を必要以上に扇動する積りは毛頭ありません。私個人がよく理解できないことが根底にある話です。
国内で最初のBSE牛が確認されたとき、一般社会のBSE発生に対する受け止め方および牛肉の安全・安心にたいする対応は、農水省、地方自治体や官僚が考えていた以上の激しいものでした。農水大臣や県知事が人前で大きな口をあけて焼肉を食って見せたことがありました。そのような程度の低いデモンストレーションなどでは、食に対する国民の不安を沈静化することはできなかった。その激しい国民の反応に驚いた政府は、肉牛の全頭検査を実施することで牛肉の安全を保証するような格好となったと心得ています。
ところが一部のマスコミには相当前から日本国内にも変異型ヤコブ病の患者がいるらしいとの報道が流されていました。それが現実として公表されました。イギリスに1ヵ月間滞在した経験のある日本人男性が発症し、とうとう亡くなってしまったようです。
そこで政府は、専門委員会の答申を受けて、一部理解しがたい部分はあるもののイギリス滞在中に罹ったのだとの公式見解を発表しました。イギリスでは、ハンバーグ好きな若者百人以上が変異型ヤコブ病に罹り死亡しています。その他の国でも変異型ヤコブ病患者が発生していますが、皆イギリスとの関わりがあると報道されています。
ところがその後、この不幸にして亡くなられた男性のプライバシー保護のためか、この変異型ヤコブ病の患者のこと、およびその背景や対応などについては全く報道されていません。
この不幸な日本人男性はイギリスに滞在中に(イギリス産の牛肉を食べて)罹った(国内の牛肉は無関係な)のだとの説明に疑問を持った国民はあまり多くないようで、それを聞いて納得しているようにも私には感じられます。その通りであれば、あまり深刻に考えたり、国内牛を疑う必要はないでしょう。
牛から人にくる変異型ヤコブ病は、自然発生(弧発性)のヤコブ病と根本的に伝播力、起病力や潜伏期などが異なるのかもしれません。そうであれば、毎日牛肉を食べていたかもしれないので、単に一ヵ月の滞在だけで罹ってしまったこともあるのかも知れません。詳しいことは私にも判りません。
しかし、少し不思議なことがあります。この日本人男性が特別に変異型ヤコブ病に罹り易かった体質でもあったのであれば、一ヶ月で罹ってしまったのは例外中の例外として扱えます。そうでなく普通の体質の男性であったとすると、一ヵ月で罹ってしまうのは少し無理でないかと思われます。
更に、仮にその当時のイギリス産の牛肉が変異型ヤコブ病のプリオを特別に多く含んでいたから、一ヵ月間の短期間の滞在でも罹ったのだと仮にきめましょう。もしこの仮定が本当であると仮定すると、イギリスに滞在している日本国大使館の人は、一ヵ月以上の期間にわたり牛肉を食べ続けているのですから、今現在の時点までに変異型ヤコブ病に罹ってしまい、死亡している可能性がありそうです。イギリス人にしてもしかりです。イギリス人が地球から消えてしまっているかもしれません。現実にはイギリスにはエリザベス女王陛下を先頭にイギリス人は健康に生活をしているのです。
変異型ヤコブ病との診断で亡くなった日本人男性は、イギリス国内でなく日本国内で感染した可能性を完全に否定できるのでしょうか。危険な肉骨粉を大量に輸入したことまでは、色々な記録や証言から判っていても、それがどこに消えてしまったのかは不明なままと聞きます。調べても判らなかった可能性もありましょうが、あまり詳細には調べなかったことはないのでしょうか。国内で罹った可能性が万が一程度でも可能性があるとすると(仮定です)、今後のことを考慮してよく因果関係を調べた方がよいのと違いましょうか。
私のこのような発言は、少し過激すぎるでしょうか。米国産牛肉の輸入再開を米国政府は強く求めているように感じています。テレビのニュースで米国の食品監視官が20ヶ月の若い牛を目視で識別するのは科学的でないとの発言があったようです。更に日本政府はイギリスとフランスに滞在したことのある人からは、血液も臓器も提供を受けなくする発表をしました。以前に「269.フランスの料理とプリオン.12-9-2001.」を書きましたように、私を含めて多くの人達が過去には極めて微妙な肉を食べた経験があります。しかし、私はいまも元気です。変異型ヤコブ病でなくなった一人の患者さんのことも充分に調査や情報公開ができないのだとすると、万が一にも米国産牛肉で事故が起こったとしたら、今後はどのようになるのでしょう。