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389. 無菌ウジで傷口感染の減少. 12-10-2004.
 
米国バージニア州のある研究財団のR.シャーマン博士らは、手術後に起こる細菌感染の予防にウジを用いて感染リスクを減少できたと医学雑誌に発表しました(Clinical Infectious Diseases 39: 1067-1070, 2004)。数年前にも生物手術の誕生と称して「244. 生きているウジを用いる新しい生物手術」でウジを用いた治療法について紹介しました。今回の論文の概要を記します。
 
そもそもウジが病巣に有効であることに気付いたのは、数世紀もの前の軍医達で、戦場で負傷した兵士の切り傷にウジが有益ことをみていたようです。現在臨床で使われている無菌ウジによる治療法は、1920年代から開始され、今現在はかなり多くの医療施設で行なわれているようです。
汚染された切り傷などの組織を取り除いて正常な組織を露出させる治療行為は、外科的にも実施が可能です。しかし、卵の段階から無菌化されたウジを用いる治療法には幾つかの利点があります。傷口に細菌を持ち込まない、ウジは死んだ組織を好んで食べるが生きている組織は食べない、抗菌性物質を作っているらしい、創傷部の治りが早い、その結果として感染の発生を低下させているのだそうです。
典型的な無菌ウジの治療は、1回にウジ療法を2日間から3日間、それを週に2回実施する(= 1週間に4日間から6日間)。ある病院で小規模に実施されてきたウジ療法の治療結果を調べてみた。手術を受ける3週間前に無菌ウジによる死んだ組織を取り除く治療を行なった10か所の切り傷には細菌感染は生じなかった。ところが同じ時期にウジ治療を受けなかった19か所の切り傷では32%に感染が起こった。
 
患者の多くは予想していたより容易に無菌ウジ治療を受け入れた。患者の反応は薬剤投与よりもよく、外科医よりもはるかに良好でありました。しかし、無菌ウジ療法を妨げる要因は、費用の問題です。ウジの生産費用は高くないが、ウジは非常に死滅し易く、貯蔵や保存ができないので毎日新たに生産しなくてはならないから高くなると述べています。
 
 
244. 生きているウジを用いる新しい生物手術」に記載されている無菌ウジ治療の特徴は、死んだ組織を取り除き、傷口の細菌を消化して殺す、傷口の臭気を減弱させる、傷の痛みを和らげるとあります。今回の報告でもほぼ同じようなことが記載されています。死んだ組織部のみをウジが食べているのだとすると、ウジに食われている感覚は多分ないのでしょう。しかし、満腹となって組織を食べなくなったウジの始末は、どのようにするのでしょうか。高いとは言え、無菌ウジの値段はどの程度なのかなど知りたいことが多々あります。ITの時代にウジの使用は、奇妙な組み合わせと思われます。

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