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404. 肥満とインフルエンザ. 6-2-2005.
 
米国ノースカノライナ大学のM. A. Beck准教授は、博士課程学生A. Smith氏を指導して、肥満マウスを用いたインフルザウイルスに対する感染実験を実施し、その結果を米国栄養学会で発表しました(MT6-2-05)。口頭発表の抄録であるので研究成果の詳細は不明な点が多々ありますが、記載されている内容の概要を紹介します。
 
脂肪分と糖分の多い飼料と炭水化物を多く含む通常の飼料を五ヶ月間与えられたマウスを各35匹準備した。脂肪分と糖分を多く与えたマウスの体重は、通常の飼料で飼育されたマウス35匹より体重が37%も増加し、体脂肪率は通常マウスの21%であったのに対して31%であった。マウスの成熟期である月齢五ヶ月の時点でインフルエンザウイルスを感染させた。
 
ウイルスの感染した細胞を破壊するNK(ナチュラルキラー)細胞の能力を調べたら、肥満マウスのNK細胞は感染細胞を破壊する能力が50%低下していた。NK細胞は、インフルエンザウイルスの感染している細胞を破壊してウイルスの増殖を抑制することに重要である。ウイルスに感染した後の免疫応答は、サイトカインの産生から始まる。サイトカインは、ウイルス感染の拡大を抑制し、Tリンパ細胞を活性化して、肺に到達したインフルエンザウイルスの増殖をさらに抑制する。このようにNK細胞は、免疫系にさまざまな働きを発揮する。抗ウイルス活性をもつインターフェロンのようなサイトカインと炎症性サイトカインに関係する遺伝子とタンパク質の発現において、大きな違いが認められた。感染初期にウイルス増殖を抑制するために重要な抗ウイルス活性をもつサイトカインは、肥満マウスで有意に低下していた。インフルエンザウイルスに感染した場合の死亡率について、通常マウスの死亡率が4%であったのに対して、肥満マウス40%であった。
 
米国では現在インフルエンザで毎年3万6千人が死亡し、11万4千人が入院している。インフルエンザがヒトの肥満に対してもマウスと同様な影響を与えている可能性が高いとBeck准教授は述べています。
 
 
肥満は生活習慣により引き起こされ、さまざまな障害を呼び込むようです。米国で見かける肥満は、体重の増加量のみならず、脂肪の付き方まで驚くべき深刻な現象に見えます。そのため日本人の肥満とアメリカ人の肥満とを同じに考えることは出来ないかもしれません。肥満のどのような要因がウイルス感染を抑制するサイトカインなどの機能と関係するのかが良く解りません。またインフルエンザウイルスによるマウスの死亡率が意外に低い数値になっています。死亡率を故意に低い条件にしても肥満マウスの死亡率は高くなることをBeck准教授は証明したかったのかも知れません。私個人も体重増加を制御できないでいますので、他人に対して助言的なことは何も言えません。しかし、いずれにしても肥満には良いことは何もないと思えますから、是非ともコントトロールしたいものです。

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