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412. 血液型とウイルス性胃腸炎. 10-20-2005.
 
血液型がA型の人は風邪に罹りやすいとよく言われます。サルも血液型がA型なので風邪に罹りやすいと聞いたことがあります。これがどの程度科学的に根拠のある話なのかは分かりません。三段論法的に血液型がA型の人はサルに似ているという積りは毛頭ありません。
 
ノロウイルスと血液型
ノロウイルスは、冬季に流行る食中毒の主要な原因ウイルスです。少し前までは小型球形ウイルス、SRSV、ノーウォークウイルス、カリシウイルスとかと呼ばれていたウイルスです。生カキやカキ鍋などを介して時に集団食中毒を引き起こすことが多々あります。
ノロウイルスは、今現在も培養できないウイルスなので、遺伝子からウイルスの研究が進められています。ノロウイルスには、異なる遺伝子が数多く存在することが分かっていると同時に、ヒトの血液型の型物質をレセプターとして感染することも明らかになってきました。
北海道のある町で661名が学校給食による食中毒が疑われる急性胃腸炎を起こした事件がありました。北海道の衛生研究所の先生方は、その集団食中毒の原因究明のために微生物検査を実施し、また感染者の血液型をもアンケートで調べました。その結果が日本感染症学会から発行されている感染症誌(79:664-671,2005)に報告されました。私にしては興味ある調査であり、これまでにあまり報告されていない結果ですから、その概略を紹介したいと思います。
 
ノロウイルスによる集団食中毒と血液型
北海道のある町の小中学校16校の児童、生徒と教職員の661名が急性胃腸炎を起こしました。微生物検査の結果、給食の調理従事者の糞便、取り扱われた食品および発症者の糞便からノロウイルスの遺伝子が検出されました。検出されたノロウイルスの遺伝子の塩基配列を分析した結果、全てのウイルスの遺伝子は同一でありました。このことから単一のノロウイルスの暴露により引き起こされた集団食中毒事例であることが分かりました。
検出されたノロウイルスについて、発症者の血液型と発症率や症状との間に関連がみられる可能性があると考え、アンケート調査を実施しました。アンケート調査の対象は、発生当時の小中学校の児童と生徒(小学校2年生から中学校3年生)の1,098名でした。ウイルスの遺伝子は、発症者の便9検体と吐物9検体を用られました。
722名から回答(65.8%)が得られ、最も高い発症率はA型の71.1%(187名中133名)が発症していた。一方、最も低い発症率はAB型の55.3% (47名中26名)でありました。また児童と生徒の家庭における二次感染発生率は、AB型が19.2%(26家庭中5家庭)で、A型の41.4%(133家庭中55家庭)およびO型の39.5%(124家庭中49家庭)より有意に低い発生率であった。これらのことから、AB型のヒトは検出されたノロウイルスに対して感受性が低かったものと推察された。嘔吐の有症率が最も高かったのはA型で88.0%(133名中117名)で、最も低かったのはAB型の76.9%(26名中20名)でした。食中毒の原因食品は、きなこねじりパンと考えられ、配膳された原因のパンを全て食べた児童・生徒も、一部しか食べなかった者に於いても発症率には有意な差は認められませんでした。
 
ノロウイルスの代表株であるノーウォークウイルスは、O型の血液型のヒトに感染しやすいと2002年に報告されていいます。その後、ノーウォークウイルス粒子は、O型、A型およびAB型の赤血球を強く凝集するが、B型の赤血球は凝集しない性質であることが明らかにされています。またABO型の抗原は、胃十二指腸の粘膜上皮細胞にも発現しており、ノロウイルスの感染に重要な役割を果たすと考えられてもいます。エイズの原因ウイルスは、リンパ球の表面にあるCD4と呼ばれる物質(血液型物質ではない)に結合して細胞のなかに入り込むことが分かっています。血液型の違いによる感染発症率の違いが少しずつ明らかにされてきています。

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