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423. 麻疹ワクチンと脳炎. 1-6-2006.
 
ハシカの感染率
いまさらあらためて説明を要しないかもしれませんが、麻疹は、麻疹ウイルスが原因で起こる怖いウイルス性の病気です。ウイルスのヒトからヒトへの伝播は、患者の咳の飛沫や鼻汁などを介して気道や鼻粘膜から体内に侵入する空気感染でおこります。潜伏期は10日前後で、微熱、咳、高熱の順で症状が現れます(前駆期)。その後麻の実のような発疹があらわれ(発疹期)、約5日間続き回復へと向います(回復期)。前駆期の終わりに口腔粘膜にみられる白いコプリック(Koplik)斑は麻疹に特徴的です。予防は、弱毒生ワクチンがある。
ところがハシカに感染した子供のうち、10万人に数人程度が感染6年後ほどに脳が犯される病気「亜急性硬化性全脳炎Subacute sclerosing panencephalitis(SSPE)」を発症することがあります。いったん発症すると植物人間となり、助かる可能性はほとんど無く死亡する恐ろしい病気です。この脳の病気を防ぐ為に、ハシカのワクチンは強制接種となっています。
大分まえの曖昧模糊 329. 麻疹ワクチン接種者にハシカの発症者、「ワクチンを接種してある人のハシカ発症率が55.3%で、ワクチンを接種してない人の感染率が33.3%であった」との奇妙な現象が観察さているとの報告を掲載してあります。ハシカのワクチンの有効性を疑わせるかのような内容でした。このようなことから強固な免疫状態を持続させるためには、麻疹ワクチンは二回接種するのが良いのではないかとの提案がなされました。
 
麻疹ワクチンの高い予防効果
麻疹ワクチン(弱毒されたウイルスの生ワクチン)のウイルスがSSPE感染を引き起こす可能性を除外できないことから、米国疾病管理センターCDCのW. Bellini博士らは、SSPE患者の脳組織標本を検索した。SSPEが疑われる患者11例の脳組織標本を検討し、SSPEと確定された5例と症例報告でSSPEと確認されていた7例の合わせて12例は、1989年から1991年の麻疹流行中の感染と関連していました。この時期は、米国での麻疹予防接種を受ける率が低下していた時期にあたります。ところが死亡したSSPE患者の脳組織からはワクチンのウイルスでなく、野生型麻疹ウイルスが検出され、麻疹ワクチンのウイルスがSSPEを引き起こしたとする推論に反する証拠を得たのでした。麻疹ワクチンを2回受けている予防接種者の99%には強固な免疫が誘導されます。これらの結果、検討したSSPE症例はワクチンが原因でないことから、W. Bellini博士らは、麻疹ワクチンは多数のSSPEを予防していると結論しています。
麻疹による死亡者数は世界的に減少しているのは現実ですが、それでも小児の年間死亡者数160万人(ワクチンで予防が可能な疾患による)の約半数は麻疹による死亡者数であると述べています(感染症雑誌J. Infect. Dis. 192: 1686-1693, 2005)。
 
 
子供に多く患者がでる麻疹はやはり恐ろしい病気であることが、ここに紹介した報告からもわかります。さらに麻疹よりも亜急性硬化性全脳炎SSPEは、比較にならないほど恐ろしい死の病です。罹ってから治療するよりも罹らないように予防することの賢明さが理解していただけるかと思います。尚、曖昧模瑚には、「39.日本はハシカの輸出大国274.成人にハシカの流行329.麻疹ワクチン接種者にハシカの発症者」が既に掲載されています。興味のある方は、参考にしてください。

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