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436. 無重力の宇宙空間での生体反応. 12-10-2005.
キーワード:宇宙空間 無重力 免疫反応
 
シロアリ菌は宇宙空間で水素を作れるか
スペースシャトルなどで宇宙空間を飛行していると、地上での生活とことなり、身体的に色々な不都合が生まれているのだと推測されます。ロシアの宇宙飛行士が宇宙船に長期間におよんで滞在して、地上に帰還すると筋肉や骨が弱っていて直ぐには直立歩行は出来ないようです。短期間的には宇宙空間にでるとたちまち宇宙飛行士の顔がふくらむ現象が起こるようです。
 
重力のない宇宙空間で微生物を用いて廃棄物の処理と水素回収の実験に私は非常に興味をもっています。宇宙空間での生活環境は、全てが有限な特殊な環境です。地上から持ち上げられる食料、酸素やエネルギーは、限りがあります。目的がなんであっても、ものを燃やすことは酸素を消費することですから、極力差し控える必要がありましょう。そのため宇宙空間での生活は、排泄物や廃棄物もできるだけ物質を循環して使用することが前提となりましょう。
酸素を必要としない嫌気性水素生成細菌で食物系廃棄物を処理すると、地上と同じように水素ガスを作れるのかを確認してみたいのです。技術的に克服しなくてはならない事柄が多々ありますから、直ちに実験に取りかかることは少し難しいとは思います。このように個人的な志向がありますので、宇宙空間での生体の反応には、大変に興味があるわけです。
 
無重力環境では免疫系が機能しない
ヨーロッパの学術雑誌に無重力の環境では生体の免疫系が機能しなくなる謎を解く鍵に相当するであろう「無重力環境で機能しない免疫反応に関与する遺伝子を発見」という論文を見つけました(FASEB Journal 19 : 2020 - 2022, 2005)。詳細は把握してないのですが、面白そうなので概略を紹介します。
 
この報告をしたカリフォルニア大学サンフランシスコ校の内科学の助教授M. Hughes-Fulford博士は、自分自身も元宇宙飛行士の肩書きをもつ科学者で、1991年米国で最初に医学研究を実施したスペースシャトルに搭乗しました。宇宙空間におけるヒトの免疫が抑制される現象は、1960年から1970年代のアポロ計画ではじめて確認され、アポロの宇宙飛行士29人のうち15人は、宇宙船で飛行中、飛行直後、地球への帰還後1週間以内のいずれかの時期に細菌またはウイルスに感染したことを報告しているようです。
 
Hughes-Fulford助教授らの研究概要は、地上では病原体の存在に反応するPKA(調べられたら後日追記します)という細胞内情報伝達経路が、99種類の遺伝子の機能発現を刺激して適正な免疫機能に必須なTリンパ細胞の活性化がおこることをまず明らかにしました。しかし、無重力の環境ではPKA経路が病原体に反応せず、その結果として91種類の遺伝子が誘導されず、8個の遺伝子が有意に抑制されるため、Tリンパ細胞の活性化が大きく低下するというものです。
 
Tリンパ細胞の機能が顕著に低下する状態としていま分かっているのは、エイズのHIVに感染した時と無重力の環境におかれた時の二つだけであるとも指摘しています。このユニークな免疫反応の消失の解明は、そこから新しい治療が生まれる可能性がある。もしヒトが宇宙空間で長期間生活したり、働いたりすることになると、このユニークな免疫機能の問題を克服しなくては、宇宙基地などの宇宙飛行士の健康を維持できなくなる可能性についても述べています。
 
 
宇宙基地では新鮮な野菜などは人工的な水耕栽培でまかない、食べ残しや排泄物の一部は船外に放出されるとしても、多くは細菌に食わせて処理するシステムがとられるものと推測されます。そのときに使用する細菌は、増殖するのに酸素を必要とする好気性菌よりは酸素を必要としない嫌気性菌の方が使いやすいと思われます。我々のシロアリから分離した嫌気性の水素生成菌は、宇宙基地で活躍が期待できる菌株と思っています。液体培養液中に作られる水素は、無重力の環境では水より軽いことはなくなるので、水素も培養液から回収・精製する必要があります。そのようなことを考えると、地上で簡単に行なっている実験は殆どが重力があるからできるのであった、無重力という環境では、例えば、液体の培養液を撹拌したりするとうなるのでしょう。多分泡や水滴として飛行船内を飛んでいってしまうことでしょう。無重力で実験を行うには、新規な条件を設定できないとダメでしよう。無重力環境での実験は、実施できなくても考えるだけでもワクワクします。

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