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440. 食由来感染症と食の安全. 8-25-2006.
キーワード:食中毒 感染症 輸入食品 プリオン
 
食品の生産段階または流通段階での微生物汚染のリスクをゼロにするのは難しい問題です。そのうえ食品による事件や事故の多発は、食生活や社会構造の変化と無関係ではなさそうです。
その第一の理由は、食品の輸入量の増加があります。政府の輸入食品の監視統計によると2004年の輸入食品の届出量は、3,427万トンとなっているそうです。これらの食品がどのように生産され、加工され、流通しているのかについて輸出国の状況を把握するのは、これまた極めて難しいようです。
事件や事故が多発する第二の理由は、食品の大量生産および大量流通によると思われています。1996年の学校給食による腸管出血性大腸菌O157の食中毒事件では、約8,000名の児童が被害に巻き込まれました。2000年の低脂肪乳によるブドウ球菌の食中毒事件では、約13,000名が罹患しました。これらは、給食素材の生産段階での汚染、乳飲料の製造と加工の工程における汚染が原因と考えられています。
 
食中毒の発生は増加しているか?
食品や水が原因で感染・発症した場合は「食中毒」、食品や水を介さないヒトからヒトへ感染し発症した場合は「感染症」と呼びます。感染源が細菌であろうとウイルスであろうと、食中毒の多くは、糞便由来の微生物による食品の汚染によります。
厚生労働省の統計によると、平成17年の食中毒の発生総数は、発生件数も患者総数もともに平成16年との比較では減少しているとあります。表1に記載のように、細菌性食中毒の発生件数は、平成16年の1,252から平成17年の1,065と7.3%の減少になりました。罹患した患者総数は、13,078人から16,678人へと3,600人の実に27.5%もの増加になりました。一方、ウイルス性食中毒の発生総数は、平成16年と平成17年とでは変化がなかったが、患者総数12,537から8,728へ3,809人(30.4%)の減少となっています。
 
表1.食由来微生物による感染症と食の安全
  平 成 16 年 平 成 17 年
  件 数 患者数 件 数 患者数
※総  数 1,666  28,175 1,545 27,019
※細菌関連 1,152  13,078 1,065 16,678
サルモネラ属菌 225 3,788 144 3,700
ブドウ球菌 55 1,298 83 1,943
腸炎ビブリオ 205 2,773 113 2,301
腸管出血性大腸菌 18 70 24 105
病原大腸菌(その他) 27 869 25 1,734
ウエルシュ菌 28 1,283 27 2,643
セレウス菌 25 397 16 324
カンピロバクター・ジェジュニ 558 2,485 645 3,439
※ウイルス関連 227 12,537 275 8,728
ノロウイルス 227 12,537 275 8,728
※その他 225 2,490 205 1,610
 
食品は安全か?
カンピロバクターは高率に鶏肉に付着しています。ノロウイルスは二枚貝に付着しているので、生で食した患者または保有者の手指を介して食品を汚染します。鶏肉や鶏卵はサルモネラに汚染されていることが多いとされています。食品安全委員会が行なった食の安全についてのアンケート調査の結果は、2003年に公表されています。そのうちの上位9要因を表2に示しました。
 
表2.食品に対しての不安要因
農薬
輸入食品
添加物
汚染物質
遺伝子組換え食品
いわゆる健康食品
微生物
飼料
 プリオン
67.7%
66.4%
64.4%
60.7%
49.0%
48.6%
46.8%
45.1%
42.6%
 
米国産の牛肉の輸入が再開されましたが、輸入量はまだかなり低迷しているとマスコミで報道されていました。その理由は、消費の落ち込みにあるようです。表2は米国産牛肉の輸入再開とは関係のない数値ですが、それでも「プリオン」に対して不安に感じている人は42%もいることを示しています。中国からの野菜などには、日本国内での使用が認められていない除草剤や殺虫剤などの農薬が使われている場合もあるようです。それなども如実に数値として示されていると思います。
 
米国産牛肉の安全対策としてBSEの全頭検査がなぜに行なわれないのでしようか。米国で飼育されている牛の頭数が多すぎるから米国内では検査を実施できないと言われています、もしそれが本当の理由であるならば、日本国内に運び込まれる牛肉だけでも検査したらよいのではないかとの意見を頂いています。そのように感じている人達に対するある種の回答の積りで、「食由来感染症と食の安全」を急遽掲載してもらうことにしました。読者のみなさんは、食品の安全に対してどのようにお考えになりますか。

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