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442. 米国産牛肉に対する不安. 9-9-2006.
キーワード:BSE プリオン 米国産牛肉 食の安全と安心 不検出と安全
 
プリオンに対する不安
「米国産牛肉は絶対に買わない」、「米国産牛肉の輸入が許可されたが不安は払拭されていない」などの意見が多くの方から届いています。今回は急遽この問題を詳しい解説なしで掲載します。
 
つい先ごろ掲載しました曖昧模糊「440. 食由来感染症と食の安全. 8-25-2006. 」に偶然なのですが、食品に対する不安要因と題した表を添付してあります。これは政府が平成12年に実施したアンケート調査の結果の一部であります。不安要因としては20項目以上挙げられていますが、そのうちの上位9項目で切ったのが、下の表であります。
 
表 食品に対する不安要因
                      
不安に感じる項目 不安に感じる人の割合
農 薬
輸入食品
添加物
汚染物質
遺伝子組換え食品
いわゆる健康食品
微生物
飼 料
プリオン
67.7%
66.4%
64.4%
60.7%
49.0%
48.6%
46.8%
45.1%
42.6%
 
この表の最下段に「プリオン 42.6%」とあります。これが今回問題とされているBSEに関係する平成12年時点での国民の意思表示と思われます。しかし、米国でBSEが最初に見つけ出されたのは平成15年12月のことです。その証拠として「厚生労働省ホームページ」を調べてみました。「報道発表資料2003年12月」を開きますと、「2003年12月26日 食品安全部監視安全課から、米国におけるBSE発生に対する対応について(Q&A)」という発表が見つかります。そこには、次のような一節が記載されています。『平成15年12月24日、米国農務長官がワシントン州のホルスタイ雌牛についてBSEが疑われる旨を発表しました。・・・・同年12年26日にBSEであるとの診断が確定しました。』と明記されています。
表にあるアンケート調査の結果は、米国産牛肉と関係ない時点での数値であることに留意してください。上の食に対する不安についてのアンケート調査が平成16年以降に実施されたならば、不安要因としてプリオンと回答した人の多さは多分42.6%よりもかなり多くなっている可能性が推測されます。
 
ある読者からのメール
私どもの曖昧模糊の愛読者から興味あるメールを頂きました。最初にその方からのメール文を紹介します。
 
以下がそのメール文です:
≪ついに吉野家の牛丼が復活するようです。
米国産牛肉の輸入再開を受け、吉野家ディー・アンド・シーは6日、休止している牛丼販売を復活すると発表した。18日に東京・築地店など12店舗を除く全店で、100万食を限定販売する。予定量の肉の調達が難しく、変則的なスタートだが、今後量を増やして年内には毎日販売できるようにする考えだ。販売再開は、2005年2月に1日限定で復活させて以来、1年7カ月ぶり。18日は、一部店舗を除く約1000店で100万食を販売。さらに10月1日から5日にかけて1日100万食、計500万食を11月も同様に販売する。価格は「並盛」が380円、「大盛」は480円にそれぞれ設定。「特盛」や「牛皿」は販売しない。同日、記者会見した安部修仁社長は米産牛肉の安全性を強調したうえで、「12月からは1日あたり(1店舗)360食相当の時間限定販売に移行したい」と述べ、早期の本格販売に意欲を示した。
吉野家は、2007年2月期連結売上高を前年比10%増の1351億円、経常利益を同243%増の53億円と見込む。牛丼販売の再開はすでに織り込んでおり、安部社長は「見通しは変えていない」と述べた。(東京 ロイター 6日) - 9月6日17時0分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060906-00000369-reu-bus_all
との記事がありました。
 
曖昧模糊のNo.416で、米国産牛肉について、「すき家」の見解を紹介されていましたが、同じように「吉野家」の見解はどうなのか?と吉野家のホームページを開いて見てみたら、このようなページがありました。
http://www.yoshinoya-dc.com/safety/index.html>。
さらさらとしか読んでいませんが、それでも、どうも首をかしげてしまうようなことが書かれています。例えば・・・検査の対象が30ヶ月加齢以上の理由が書かれており、その中に「検査でBSE感染が発見される牛の大多数は生後30ヶ月以上です。これは年をとってからBSE感染する牛が多いためではありません。多くは子牛のときに感染しますが、最初は異常プリオンの量が少なく、長い年月をかけて次第に危険部位で増加・蓄積し、ついに発病します。しかし、現在行われているBSE検査の迅速診断方法では、感度に限界があり、30ヶ月未満だと検出されないことが多いからなのです。」と記載があり・・・、「以上より、世界基準として30ヶ月齢以下の牛は安心が得られます。」と結論づけています。しかし、素人感覚では、単純にそうは言えないのでは? と思ってしまったりします。
もし、時間があるようでしたら、吉野家を批判するということではなく、このように「すき家」と「吉野家」など大企業の米国産牛肉にたいして違う見解を「素人はどう受け止めるのか? どう受け止めたらいいのか?」などの問いかけを、例えば曖昧模糊に掲載してもらえればと思いメールいたしました。くだらぬ内容だったかもしれません。お読みいただきありがとうございました。≫
 
「すき家」と「吉野家」の安全について
上に紹介した愛読者からのメール文に引用されています曖昧模糊416.米国産牛肉を食べますか.12-13-2005.」は、次のような紹介文でした。
一部転載します。

「すき家」の見識
ある方から米国産牛肉の輸入再開の決定について、貴重な意見が寄せられました。その骨子は、次のようなものでした。ご紹介します。
≪日本国政府は、本日12日(2005年12月12日)に米国産牛肉の輸入再開を正式に決定したようです。生後20ヶ月以下で、危険部位を除去した牛肉に限るとのことです。一応、調査団を送って調べるようです。
一方で、「すき家」は、独自の現地調査で、危険部位の除去が不完全、飼料規制不十分、全頭検査してないとの理由で、使わないと発表しています。本質的に、安全性の問題には、きちんと安全である事を示すデータが必要であると思います。それがない内は、それらに対する対策が必要だと思います。政府の取ったやり方は順序が逆ではないでしょうか。事前に信頼性のある調査して、安全性を確保してから輸入再開の検討をすべきだと思います。これら一連の発表を見ると、「すき家」の方が政府よりまともな気がしますが、いかがでしょうか。≫というものです。
そこで「すき家」のホームページhttp://www.zensho.com/を開いてみました。右側にプレスリリースという欄があり、その一番上に「米国産牛肉再開について当社の見解」という文字が読み取れました・・・・・・。 上の文でも触れているように、「すき家」は独自に現地で調査した結果、米国産牛肉を安全と判断して客に提供することは出来ないと記されていました・・・・。
 
一方、今回連絡をもらった吉野家のホームページを開くと、「吉野家の考える「安全」と「安心」について」が、次のURLに掲載されています。
http://www.yoshinoya-dc.com/safety/about_bse.html
検査でBSE感染が発見される牛の大多数は生後30ヶ月以上です。・・・・・現在行われているBSE検査の迅速診断方法では、感度に限界があり、30ヶ月未満だと検出されないことが多いからなのです。」とあり・・・、「以上より、世界基準として30ヶ月齢以下の牛は安心が得られます。」との記載が確かにあります。
上のこの文の内容を言い換えますと、「BSEのプリオンを検出する現在の検査法には検出感度に限界があるので、どうしても30ヶ月未満の牛ではプリオンが検出されないケースが多い、だから30ヶ月齢以下の牛肉を食べても安心だ」と主張しているようにも解釈できるようです。「だから」の前後で飛躍があるので、意味がつながってないことが判ります。
 
ここで注意することがあるように思います。≪18日は、一部店舗を除く約1000店の吉野家で100万食を販売する≫ということは、たった100万食かと解釈するのは如何かと思う点です。色々な意味でこの100万食は、宣伝に使われることの意味を考えたいのです。限定販売ですから必ず行列が出来るでしょう、長い行列と美味しそうに食べている人達をマスコミが大々的に取り上げるでしょう、その様子から米国は日本人は米国産牛肉を欲しがっていると解釈して「もっと米国産牛肉を輸入すべき」と圧力をかけてくるかも知れません、業界も20ヶ月未満の牛に限定していると必要充分量の牛肉を買えないと言うかもしれません・・・・・。今後の様子を静かに見守りましょう。

さて読者の皆さんは、「米国産牛肉やプリオン」についてどのように考えているのでしょうか。「安ければ買います」と言うのか、「安全であれば食べます」と言うのでしょうか。「安ければ買います」と言うのは、本人個人の「安いか高いか」の基準ですから、これに対して他人が意見を挟むことはないでしよう。ところが「安全であれば食べます」と言うのは、安全に対する基準や考え方が人により異なります。店頭にならぶ米国産牛肉を安全だと思える人には、美味しく食べられることでしょう。米国産牛肉を安全と思えない人には、安心して食べることは出来ないことになります。「輸入される30ヶ月未満の牛ではプリオンが検出されないケースが多いから30ヶ月齢以下の牛肉を食べても安心だ」の表現に不安を感じる人は、全頭検査を実施している国内産牛肉またはBSEの清浄国産牛肉を食べればよいのでしょう。「食に対する安心や安全」は、他人から強制されるものではないと思います。個々の人の安全であり安心なのです。
 
いま口にいれる一切れの牛肉の安全ばかりでなく、10〜20年後にも安全でなくてはならないと私は考えます。皆さんは、この「食の安全と安心の問題」をどのように考えているのでしょうか、ぜひともにご意見を聞かせてください。この曖昧模糊に掲載して、読者の方々と話し合いがもてれば幸いに思います。どうぞよろしくお願いします。

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