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455. インフルエンザの新薬発見.12-23-2006.
キーワード:インフルエンザウイルス ペプチド系新インフルエンザ薬 動物実験
 
インフルエンザの治療薬は、現在のところamantadineとノイラミニダーゼ阻害薬の2群で、アマンタジンとリマンタジンおよびザナミビルとオセルタミビルの4薬剤だけが承認されています。これに加えてウイルスの細胞への吸着と侵入を阻止する全く新しい薬剤が開発されました。
 
Journal of Virology (80:11960-11967, 2006)によると米国ウイスコンシン大学医学微生物学・免疫学研究室のJeremy J. Jones博士 (実験責任者Stancey Schultz-Cherry博士)らは、インフルエンザウイルスの宿主細胞への吸着・侵入を効果的に阻止するペプチドを発見したことを報じています。その論文のタイトルは、「Inhibition of influenza virus infection by a novel antiviral peptide that targets viral attachment to cells.」となっています。
繊維芽細胞増殖因子−4のシグナル配列の20個のアミノ酸(陽性荷電アミノ酸が末端)が、高病原性インフルエンザウイルスH5N1も含めてH1N1株、H2N2株、H3N2株、H5N9株、H7N3株およびB型のインフルエンザの赤血球凝集素(HA)に特異的に結合することで、ウイルスが細胞に接着することを阻害し、結果として細胞の感染を阻止したというものです。効果を示すペプチドの濃度は、3〜20μMの範囲にありました。この20アミノ酸からなる「EBペプチド」は、培養細胞の実験系でもマウスを用いた実験動物系でも有効性が観察され、しかもウイルス感染の予防と感染後の治療用にも効果を発揮したとあります。この新規な「EBペプチド」は、これまでに報告のないウイルスの細胞への接着をターゲットにした抗インフルエンザウイルス薬で、これは近い将来の治療薬の高い潜在能力を示しています。
 
これまでの抗インフルエンザ薬の2剤とは全くことなる作用を介してインフルエンザウイルスの感染を試験管レベルでも実験動物レベルでも阻害したとの報告です。このEBペプチドは、ウイルスのHA部に特異的に結合して、ウイルスの細胞への接着を阻害する。このペプチドの発見により、インフルエンザへの新たな対抗策が見えてきたように思われます。このEBペプチドは、細胞のグロースファクター(成長因子)に関連し、更にアミノ酸が20個の小さなペプチドであることから、このEBペプチドを繰り返し使用することによりペプチドに対する免疫抗体は出来ないのでしょうか、少し気になることです。しかしながら論文には、この副作用の可能性については触れられていませんでした。いつ人間社会に深く浸透してくるのか判りませんが、H5N1型の高病原性インフルエンザウイルスに対しての備えが増強されたように思えます。一日も早く臨床試験を実施し、ヒトの治療薬として承認されることを望みます。

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