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482. 天然痘の脅威が再来.12-3-2007.
キーワード:天然痘  ワクチン  感染
 
 米国疾病管理センター(CDC)のJoseph McLaughlin博士らは、天然痘ワクチン未接種者が同ワクチンの接種を受けている者からワクチンウイルスに感染した症例を発表した(MMRW 56: 417-419, 2007)。
 1979年 世界保健機関(WHO)は、毎年多くの死者をだしていた天然痘が地球上から消滅されたと宣言しました。それ以来、小児への天然痘ワクチンの接種は中止され、1990年以降は軍事関係者以外へのワクチン接種は行なわれていません。
 しかし、最近ではワクチン接種を受けた軍事関係者との接触による新たな問題が報告されるようになって来ました。
 その1例は、ワクチン接種を受けた兵士から息子へのワクチンウイルスの伝播でした。その息子は、重度の疾患になりましたが、その後は回復しているとのことです。その2例目は、アラスカの米軍基地で天然痘ワクチンの未接種の女性がワクチン接種を受けて間もない兵士との性的接触により、外陰部にワクチンウイルスが感染するという希な症例が認められました。
 
 2001年9月11日にテロリストがニューヨーク市にそびえ立っていた世界貿易センタービルに飛行機を激突させた同時多発テロ事件を契機に、天然痘ウイルスを生物兵器としてテロに使われるのではとの危惧が生じました。この事件の直後に炭疽菌の白い粉による攻撃を受けて、米国政府は軍事関係者や医療従事者へ限って天然痘ワクチンの接種を再開しました。その結果、米国では現在までに100万人以上の関係者がワクチンの接種を受けていると言われています。
 
 天然痘が地球上から消滅して以来、世界各国政府は、天然痘ワクチンの接種の必要性がなくなったとして、ワクチンウイルスを処分しました。ところがあとで判ったことは、米国やロシアなどの一部の国は、今後の備えに必要とワクチンの種ウイルスを処分しないで保管していました。
 米国では軍関係者と医療従事者に天然痘ワクチンの接種を再開しました。その結果が上に述べたような事故につながっているのです。軍関係者のワクチンウイルスによる感染は、今後どのような展開をみせるのでしょう。テロに備えるべきか、人の感染を防ぐべきか、どちらがより重要なのでしょう。

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