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492. E型肝炎ウイルス 妊婦と胎児に悪影響.4-20-2008.
キーワード:妊娠、妊婦、E型肝炎ウイルス、劇症肝炎
 
E型肝炎ウイルスによる感染は、しばしば汚染された飲料水により拡大し、発展途上国の流行地に旅行する者にとっても重大な急性肝炎リスクとなります。
 
インド・ニュデリーにあるLady Hardinge医科大学のS. Patra博士らは、妊婦がE型肝炎ウイルスに感染した場合、これまでに考えられていた以上に劇症肝炎による胎児と母体の死亡率が高いなど、多くの問題を引き起こすとの研究成果を発表しました(Ann. Internal Med. 147: 28-33,2007)。
 
汚染飲料水から感染
これまでの研究でも妊婦がE型肝炎ウイルスに感染すると、その15パーセントから20パーセントに劇症肝炎と死亡を引き起こすことが示されています。
 
ところが今回のインドにおける観察では、E型肝炎ウイルスによる急性肝炎と黄疸を呈する妊婦は、他の肝炎ウイルスによる急性肝炎と黄疸を呈する妊婦に比べて母体死亡率が高く、胎児が不良であることが明らかとなりました。
 
Patra博士らは、ニューデリーの病院に入院した妊婦3万3千例を対象に研究しました。その結果、急性肝炎による黄疸は220例に見られ、そのうち60%はE型肝炎ウイルスによるものでした。
 
E型肝炎ウイルスによる肝炎例における産科合併症は、非E型肝炎ウイルスによる肝炎に比べて産後出血と子宮内胎児死亡が有意に高いことがわかりました。
 
劇症肝炎のほとんどが死産
さらに非E型肝炎ウイルス感染に比べてE型肝炎ウイルスによる肝炎妊婦では胎児の出生率も不良で、早産や死産の割合も高かった。
 
劇症肝炎発症妊婦の分娩は70例ありましたが、生産児は2例にすぎなかった。この2例はいずれもE型肝炎ウイルスによる劇症肝炎例(53例)からの出産で、うち1例は死亡しました。
 
劇症肝炎を発症しなかった妊婦の分娩は116例ありました。生産児はE型肝炎ウイルスの感染例では52例中20例(38%)であったが、非E型肝炎ウイルスによる劇使用肝炎例では64例中40例(63%)でありました。
 
垂直感染が胎児に影響
Patra博士らは、「既存の研究でもE型肝炎ウイルス感染は妊婦における黄疸と急性肝炎の原因として検討されていたが、E型肝炎ウイルス感染の妊婦で胎児が不良であることはこれまでに報告はなかった。この胎児への悪影響の機序は不明であるが、垂直感染が原因かもしれない」としている。
 
 
男性と妊娠していない女性では、E型肝炎ウイルスによる感染は、一般に問題にするほどのことはなく、致命率はせいぜい0.1%未満であるとされています。発展途上国では汚染された飲み水で感染が拡大され、とくに妊婦が感染すると一般に大変です。ところが妊娠が終了すると母体の症状は急速に改善されるといわれています。このことは、妊婦の免疫状態と感染の激化とになんらかの因果関係があることを示唆しているのかもしれない。
E型肝炎ウイルスのワクチンは、妊婦の感染防止や先進国からの旅行者を保護するためにも重要であるが、感染が拡大している発展途上国の人々でも入手可能な価格で販売するためには、生産コストが高すぎるのです。

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