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505. インフルエンザウイルスはアジアが起源.9-20-2008.
キーワード:インフルエンザウイル、ウイルスの起源、アジア発、大陸間移動
 
インフルエンザウイルスの大陸移動経路に関する新たな知見が米国と英国の科学者からNatureとScienceにそれぞれ発表された。その概要を簡単に説明します。
 
米国ペンシルベニア州立大学の生物学のEdward Holmes教授らは、12年間かけて収集したA型インフルエンザウイルス1,302株の遺伝子配列を調べた。その結果、A型インフルエンザウイルスの起源は熱帯アジア地域であると結論した。
 
今後大流行となりうる新種のトリ型インフルエンザウイルス株はまず東アジアと南西アジアで発生し、そこから約6〜9か月後にヨーロッパと北アメリカへ、そして最後の寄港地である南米へと伝播するとNature(2008:オンライン電子版)に発表した。
 
一方、英国ケンブリッジ大学の動物学のColin A. Russell博士らは、5年間かけて収集したA型インフルエンザウイルス13,000サンプルを調べた。ウイルス粒子の表面にあるヘマグルチニンと呼ばれる糖タンパクを分析し、その結果をScience(329: 340-346, 2008)に発表した。
 
Russell博士らの結論は、A型インフルエンザウイルスはアジアを起源として発生し、変異ウイルスのヨーロッパや北アメリカへと伝播し、最後に北米からの旅行者により南米へもたらされる。
 
そのウイルスが南米からの飛行機旅行を通じて東南アジアへ戻ることもありうるが、実際には可能性は低いと述べている。なぜなら、その時までに変異ウイルスに対する抵抗力がアジア地域では備わっているからであると述べている。
 
ウイルスは検疫のレーダーに映らないで大陸間または国家間を自由に往来できる恐怖の病原体です。ウイルスの移動する速度は、大昔はキャラバン隊のラクダの歩く速度と言われていました。ところが経済の発展と社会情勢の変遷により、ウイルスの移動は段々と速度を上げて、陸続きの国家間では列車の速度にまで速くなり、大陸間では外洋を航海する船舶の速度に近付いていると言われています。ウイルスの種類によっては、貿易風に乗って飛んでくるし、また飛行機を利用することも可能性として考えられるような時代になりました。過去の疫学的な調査では、アジアからヨーロッパや北アメリカに到達するのに約6〜9か月もかかったと報告されています。近いうちに発生するかもしれない、新種のトリ型インフルエンザウイルスの大陸間の移動は、もう少し早いのではないかと思われます。

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