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509. HIVの異性間感染が多い. 11-2-2008.
キーワード:HIV、エイズ、異性間感染、夫婦・同棲者間感染
 
「138.疾病の国家経済に与えるインパクト. 3-22-99.」と題してアフリカのエイズについて一部はすでに紹介しています。その概要は、いまから10年前の1998年の世界人口統計で、アフリカ諸国の平均寿命がエイズのために最大25年も短くなっていることが分かったのです。最も深刻なのはジンバブエで、エイズの患者やHIV感染者がいなければ64.9歳のはずの平均寿命が、実際には39.2歳になってしまった。このほか、マラウイ、ザンビアとスワジランドと平均寿命が30歳代に落ち込んでいる国は計4ヶ国に達したというものです(表参照)。
 
表 平均寿命が30歳代になった国

国  名
平 均 寿 命
人口(百万)

エイズ患者数
期 待 値 実 際 値
ジンバブエ 64.9歳 39.2歳  11.0  70,669人
マラウイ 56.2歳 37.1歳   9.8  50,975人
ザンビア 56.2歳 37.1歳   9.5  44,942人
スラジランド 58.5歳 38.5歳   1.0   2,939人
 
アフリカのサハラ以南の地域では、異性間の感染による高いHIV感染が報告されているが、このうち夫婦間感染の占める割合などについての調査研究は乏しく、これまでHIV予防の焦点は禁欲と婚外性交にあてられてきた。
 
米エモリー大学エイズ研究センターのKristin Dunkle准教授らは、アフリカのザンビアとルワンダの都市部における婚姻と居住の形態別に異性間のHIV感染を調査研究した。異性間のHIV感染率を算出し、感染のほとんどが夫婦間および同棲者間で発症していることが判明した。異性間感染に対するカウンセリングや検査などを推進することがHIV感染の予防に効果的であるとの結論を発表した(Lancet 371: 2183-2191, 2008)。
 
Dunkle准教授らは、ザンビアとルワンダの異性間行動に関する国勢調査のデータと両国の首都におけるHIVデータを用いて、同棲と別棲に区別した異性間HIV感染率を算出し、次いで夫婦間と同棲者間における居住形態による年間HIV感染率を算出した。
 
ザンビア(女性1739例、男性540例)とルワンダ(女性1176例、男性606例)のデータを分析した。その結果、両国都市部の成人における異性間HIV感染率は、結婚あるいは同棲している男女の場合は55〜93%で、性や国による差は少なかった。さらに血縁がなく自己のHIV感染状態を知らない男女間におけるHIV感染率は毎年20%と高率であった。
 
サハラ以南のアフリカで最も人口が多いザンビアとルワンダの男女におけるHIVの異性間感染は、ほとんどが夫婦間や同棲者間であることから、カウンセリングや検査など科学的予防方法をとれれば、異性間のHIV感染が36〜60%予防できると結論している。
 
以上の成績は、アフリカのザンビアとルワンダでのものである。これを読んで同性愛者や麻薬常習者でのHIVの感染は異性間で同居している者の感染より低いことがうかがえる。
日本のHIV感染とエイズの現状を参考までに簡単にまとめてここに記します。HIV感染者とエイズ患者は、毎年増加し、過去最高を記録しています。1989〜2005年末の報告数の累計は、HIV感染者が7392件とエイズ患者は3644件となった。サハラ以南のアフリカほどでなくても、国内の感染者およびエイズ患者の数は、例外なく増え続けている。困った問題である。
最近の特徴としては、
@性的接触による感染が9割以上、
A新規報告中、エイズ患者の比率が3割を超える、
B年齢別では新規のHIV感染者の7割を20〜30歳代が占める、
C新規エイズ患者は、30歳代が9割を占める、
D新規のHIV感染者の6割以上が同性間の性的接触から感染し、エイズ患者の感染経路は、同性間と異性間がほぼ同率となる、
といった点があげられる。

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