▲▲  ▼▼

514. プロバィオティクス. 12-28-2008.
キーワード:乳酸菌、食べる微生物、医薬品
 
プロバイオティクスというカタカナの文字列をある分野の雑誌では、しばしば目にするようになりました。普通一般の方にはなじみがないため、なんのことか理解ができないことと思われます。プロバイオティクスとは、簡単に言うと「健康によい微生物」という意味のようです。なぜいまプロバイオティクスなのかを簡単に説明することにします。
 
乳酸菌と有機酸
プロバイオティクスを説明する前に、乳酸菌などいくつかの基本的な言葉を説明します。
 
細菌による性感染症のような一部の病気を持っている人を除いて、健康な成人女性の膣内は、体外に開口し、適度に湿っている口腔や鼻腔などと似た環境ですが、それらと比較して、眼球や膣は決して無菌ではありませんが、自然の浄化作用で細菌学的にはきれいに保たれています。
 
なぜきれいかと云うと、眼球は、涙の中に存在するリゾチームと呼ばれる抗菌物質できれいに保たれています。一方、膣は、乳酸菌の作り出す乳酸などの有機酸の抗菌力によりきれいに保たれています。自然の摂理の代表的な例です。
 
有機酸とはどんな物質なのでしょうか。有機酸は、有機化合物の総称で、ほとんどの有機酸はカルボン酸であり、カルボキシル基 (-COOH) を持っている。代表的な有機酸は、酢酸(CH3-COOH)、プロピオン酸(CH3-CH2-COOH)、酪酸(CH3- (CH2)2-COOH)、乳酸(CH3-CH(OH)-COOH)などがある。
 
乳酸菌とは、ブドウ糖などの炭水化物を分解して乳酸を作る(乳酸発酵)する細菌の総称名です。乳酸はヨーグルト、チーズ、漬物などさまざまな加工食品にも含まれており、乳酸菌は食品工業にも使われています。
 
プロバイオティクス
ドイツ・フランクフルトのWolfgang Roesch教授は、プロバイオティクスが治療薬として話題にのぼることが増えており、適応症として、感冒、便秘、アトピー性皮膚炎が検討されていると述べています(MT5-17-07)。
 
プロバイオティクスとは、十分な量が活性化した状態で腸管内に到達し、健康上有益な効果をもたらす生きた微生物と定義されているようです。
 
食品や医薬品に用いられているプロバイオティク菌株は、増加する一方で、そのなかでも最も研究されているのは乳酸菌とビフイズス菌です。またEscherichia coli Nissle 1917(登録商標)のように、既に医薬品として承認されている菌株もあります。
 
プロバイオティクスは、主に免疫系の一部である腸管に作用し、その効果として、抗微生物物質の生産、免疫グロブリンであるIgA分泌の強化、粘液分泌の促進などが挙げられます。
 
Wolfgang Roesch教授らの成績からプロバイオティクスの適用例をいくつか挙げてみましょう。
例1.18才から67才の約500例を対象に「Lactobacillus gasseri、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium loggumの混合物またはプラセボを3ヶ月間与えた二重盲検試験で、鼻、咽頭と気管支の症状に有用な効果が認められた。
 
例2.60才以上の360例を対象としたLactobacillus casei defensisまたは通常のヨーグルト製品を3週間接取させた試験で、Lactobacillus casei defensisを用いたヨーグルトでは冬季感染症の発症率が低かった。
 
例3.小児の急性下痢症の多くはロタウイルスにより引き起こされるが、託児所の乳幼児(月齢6〜24か月)約900例に、標準的なヨーグルト製品、あるいはLactobacillus casei defensisを加えて発酵させたヨーグルトを1日に2回、週5日の割合で3か月間摂取させた。その結果、便からロタウイルスが検出された割合は、対照群の5.2%に対して、L.casei defensis群では0.29%であった。
 
例4.50〜75才の200例を対象とした従来のヨーグルトとBifidobac- terium animalisで発酵させたヨーグルトを摂取させると、便秘にたいして14日以内に腸通過時間は有意に短縮した。
 
主なプロバイオティク菌株
 Lactobacillus casei
 Lactobacillus rhamnosus
 Lactobacillus acidophilus
 Lactobacillus reuteri
 Lactobacillus shirota
 Bifidobacterium animalis
 Bifidobacterium bifidum
 Bifidobacterium breve
 Bifidobacterium lactis
 Escherichia coli Nissle
1917
 
プロバイオティク食品に求められる条件
 ・製品中に108個/g以上が含まれている
 ・菌が製品中で生存できる
 ・効果が菌株特異的である
 ・菌が消化管通過後も生きている
 ・最終製品を対象とした臨床試験が行われている
 ・ヒトの健康への効果が臨床試験で証明されている
 ・安全である
 
 
例5.マウスを用いた試験で生化学的効果
ロンドン大学生体分子医学のJeremy Nicholson教授らは、Lactobacillus paracaseiまたはLactobacillus rhamnosusのいずれかの乳酸菌を含むヨーグルトをマウスに与えた。プロバイオティクス投与マウスでは胆汁酸の代謝が変化し、生体が吸収できる脂肪の量を変えられたと述べています。
 
 
プロバイオティクの適応症を理解するには、プロバイオティクと腸内細菌の相互作用に関する新たな知見が、最終的には新たなプロバイオティクス療法の開発を可能にするが、善玉菌が引き起こす宿主の分子レベルの変化を理解することが重要な前提条件になりましょう。今回の研究成果は、個別の栄養法に対応するうえで非常に有望であろうと考えられます。
 

▲▲  ▼▼



Copyright (C) 2011-2017 by Rikazukikodomonohiroba All Rights Reserved.