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519. 喘息の増悪因子としてのカゼウイルス. 3-2-2008.
キーワード:気管支喘息、カゼウイルス、ライノウイルス感染
 
ヒトライノウイルスは、最も普遍的な喘息増悪因子であることはよく知られています。しかし、安定喘息患者で気管支組織にライノウイルスが存在する患者は多いのでしょうか。もし多いとすれば、患者が明らかなカゼ症状を呈していないときに、ライノウイルスは喘息にどのような影響を与えているのであろうか。
 
ホーランドのヤキェウォニアン大学のMinika Wos博士らは、喘息患者と非喘息患者のそれぞれから気管支粘膜の一部を採取して比較検討し、その結果を「気管支喘息患者の下気道にライノウイルスが存在する」というタイトルで発表しました(Am. J. Respiratory & Critical Care Medicine 177: 1082-1089, 2008)
 
上気道感染の症候が3週間以上認められない患者を調査対象として用いた。気管支組織のバイオプシーサンプル20検(喘息群14点と非喘息群6点)の免疫組織化学検査を最初に実施した。その結果、喘息群では14サンプル中9サンプル(64.3%)が、非喘息群6サンプル中2サンプル(33.3%)でライノウイルスが検出された(統計学上有意差なし)。
 
新たに喘息群30例と非喘息群23例から気管支粘膜標本を採取し、in situ逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)で解析した。その結果、喘息群が73%で陽性であったのに対して非喘息群では22%が陽性を示し、統計学的に有意差が認められた。
 
さらにライノウイルス陽性患者では、肺機能低下、末梢血中の白血球数と好酸球数の増加、気管支粘膜への好酸球の浸潤などが認められた。
 
下気道組織でライノウイルスが検出される頻度は、非喘息群に比較して喘息群で有意に高く、さらにライノウイルスの存在と喘息の臨床的な重症度との間にも相関が認められたと述べている。
 
「ライノウイルス」鼻炎(Rhinitis)の原因ウイルスで、血清型が100種類以上も知られている。本ウイルスの感染症は、普通感冒いわゆる風邪の形で発症し、年平均成人で2〜4回、小児では6〜10回みられる。この普通感冒の30〜50%が本ウイルスによるものと考えられています。普通感冒はくしゃみ、鼻漏、咽頭痛が主症状ですが、ほかに頭痛、咳もよく見られ、本ウイルスの感染様式は主として鼻分泌物(鼻汁)がついた手から、直接あるいは間接的に他人の手指や器物を汚染し、自分の手で鼻や目に接種する感染様式をとる。ワクチンなどの予防法はまだ確立されていない。
 
一般的なカゼの原因ウイルスであるライノウイルスによる感染(または当該ウイルスの存在)と気管支喘息の重症度との間に密接な関係が認められるとの報告です。水溶性鼻汁が流れるように出るのがライノウイルスによるカゼ症状の特徴の一つとしてあげられます。数日間で症状は消えるであろうが、花粉などによるアレルギー性鼻粘膜障害はこの間は軽減される可能性が考えられるが、どうなるのでしょう。誰か調べてくれたら良いのですが。

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