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537. 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のその後.11-10-09.
キーワード:クロイツフェルト・ヤコブ病、変異型CJ病、感染者数、養殖魚、
 
英国のCJD感染者数の減少は確認されず
英国の保健保護局のJonathan P. ClewleyとNoel Gill博士らは、扁桃組織の分析で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の病原体である感染型プリオンタンパク質の英国における保有率を知るための初の大規模な組織調査を実施した。
 
イングランドとウェールズ全域の病院で2004〜2008年に採取された全年齢層にわたる扁桃標本6万3千点を解析し、英国における感染型プリオンの保有率をより正確に同定することを試みた。採取された標本のうち、1万2753点はこれまでにvCJD感染者が最も多く発生した1969年から1985年に産まれた者で、1万9908点はウシBSEの原因と考えられている病原体に汚染された食品や食肉加工品を摂取した可能性がある1986〜1995年に産まれた者である。
 
分析の結果、いずれの標本からも感染型プリオンは検出されなかったため、英国におけるvCJD感染者数は前回の調査結果より減少している可能性はあるが、
1961〜1985年に産まれた者における無感染型プリオンの保有率の95パーセント信頼限界は100万人当たり0〜289人という今回の結果は、虫垂組織にもとづく先の研究で示された100万人当たり292人と大差ないことが分かった(BMJ 338: 1442, 2009)。
 
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体英仏で共通
仏国立衛生医学研究所のJ-Philippe BrandelとStephane Haik博士らは、英仏の共同研究により、両国の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の病原体プリオンは同じで、輸血後感染リスクを共有していることがわかったと発表した(J. Ann Neurol. 65: 249-256, 2009)
 
英国では近年この疾患の輸血後2次感染リスクが確認された。このリスクは患者のリンパ系組織でこの特定のプリオン源が増えることを示唆される。
 
Brandel博士らは、英仏で発生したvCJDが共通の病原体プリオンによるとの仮説を証明するため、両国のvCJD患者にかんするテータを比較した。フランスの患者23例とイギリスの患者162例のデータを検討したところ、両者間では全ての検査の知見では全く差は認められなかった。
 
養殖魚に病原性プリオン汚染の可能性
海洋など自然水域ではなく養殖魚の食としての安全に警鐘が鳴らされた。ルイビル大学のRobert P. Friedland博士らは、ウシを原料とする飼料で養殖された魚をヒトが摂取した場合、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)発症の可能性があるかもしれないという。
 
一般的には魚からヒトへの感染リスクは低いが、可能性として否定は出来ない。食の安全を脅かす深刻な問題であると発表した(Bovine spongiform encepha - lopathy and aquqculture. J. Alzheumer’s Dis. 17: 277-279, 2009)
 
Friedland博士は、自然海域に生息している魚は「ウシの飼料」を摂食しなくても良好に成長しているのだから、ウシを原料とする飼料によって養殖された魚をヒトが摂取すると、vCJDの原因因子に感染する可能性があるため、このような養殖法は禁止にすべきと指摘している。
 
そうした感染がこれまでに確認されていない原因として、疾患の潜伏期間が数十年におよぶため追跡することが困難であるという事実も考慮すべきであると述べている。
 
一時期と異なりこのところ「プリオン病」「クロイツフェルト・ヤコブ病」「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」「ウシのBSA」などはあまり話題に上らなくなりました。人によっては、広い意味でのプリオン病はもうすでに終息してあまり問題ではなくなったと勘違いしている人もいるように聞いています。しかし、現実として決して終息した訳でも解決した訳でもないと思います。ここに久し振りに「プリオン病」に関する報告を紹介しました。

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