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538. チフス菌の治療抵抗性と胆石との関係. 4-15-10.
キーワード:バイオフィルム、コレステロール、胆汁、腸チフス、慢性感染
 
オハイオ州立大学のJohn S. Gunn教授らは、腸チフス菌は胆嚢にできる胆石の表面にバイオフィルムを形成し、生体防御系から隠れて治療に対する抵抗性を獲得するようだとPNASに発表した(Gallstones play a significant role in Salmonella spp. gallbladder colonization and carriage. PNAS 107: (9) 4353-4358, 2010)。
 
チフス菌を含むサルモネラ属の細菌は、コレステロールを主成分とする胆石の表面に持続的なコロニーであるバイオフィルムを作ることがある。今回の研究では、ネズミチフス菌を接種後、高コレステロール食を摂取させたマウスからバイオフィルムに覆われた胆石がみつかり、胆石のないマウスと比較して多数の細菌が胆嚢組織、胆汁や糞便から検出された。
 
またメキシコ市での無症候性のチフス菌保菌者から胆石を摘出して分析した結果、チフス菌のバイオフィルムが1標本を除く全標本からみつかった。大腸菌の感染した胆嚢からの胆石にはバイオフィルムは検出されなかった。チフス菌の保菌者で胆石のある患者では、感染に対して抗菌薬投与が有効に作用しないことが多く、胆嚢切除が最も有効な治療選択肢となる。
 
Gunn教授は、腸チフス菌がコレステロール胆石にバイオフィルムを形成すると云う事実は、腸チフス菌が持続的に症状を呈し、菌が急性的な症状を引き起こさないで拡散する理由を説明するのに役立つであろうと指摘している。
 
 
大腸菌などの細菌は増殖して集落コロニーを作るが、緑膿菌を代表とする細菌はバイオフィルム(生物膜)を形成することがある。このバイオフィルムには抗菌薬などが浸透しにくいため、バイオフィルムのなかに潜む菌は抗菌薬などに抵抗性をしめす。ここに紹介した研究結果は、サルモネラ属の細菌がコレステロールを主成分とする胆石の表面にバイオフィルムを作るといものです。臨床的に治療を施す側からすると厄介な現象が生体内で起こっていることを示唆しています。

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