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544. アルツハイマー病の治療に新たな可能性.5-11-10.
キーワード:アルツハイマー病、アミロイドβ、新治療薬、11C-PiB PETスキャン、沈着防止
 
 フィンランドのトウルク大学のJuha O. Rinne教授らは、軽度〜中等度のアルツハイマー病患者を対象に実施した新規治療薬Bapineuzumabの第U相試験で、神経画像処理技術11C-PiB PETスキャンを用いて脳内のアミロイドβ沈着を評価した。
 
 その結果、Bapineuzumab群がプラセボ群に比べてアミロイドβ沈着量を約25%減少させたことが明らかにし、またRinne教授らは、11C-PiB PETスキャンを使用したアルツハイマー病患者の脳内測定は、薬剤のアミロイドβ沈着防止効果を評価するうえで有用だろうと、その詳細を発表した(11C-PiB PET assessment of change in fibrillar amyloid-β load in patients with Alzheimer's disease treated with bapineuzumab: a phase 2, double-blind, placebo-controlled, ascending-dose study. Lancet Neurology 9: (4) 363 - 372, 2010)。
 
 アルツハイマー病の発症には、老人斑と呼ばれるアミロイドβタンパク質の脳内沈着が中心的な役割を果たしていると考えられている。しかしながら、最近まで老人斑を確認する方法は、残念ながら剖検しかなかった。
 
 新たに開発された技術では、PETスキャンで使用される放射性トレーサーとしてアミロイドβに結合する11C標識Pittsburgh化合物B (11C-PiB)を用いることにより、生体の脳でアミロイドβ沈着量とその分布を測定することができるようになってきた。
 
 そこでフィンランドのトウルク大学のJuha O. Rinne教授らは、ヒト型の抗アミロイドβモノクローナル抗体Bapineuzumabがアルツハイマー病患者の大脳皮質におけるアミロイドβ量を減少させられるかを検討した。
 
 軽度〜中等度のアルツハイマー病患者22例を投与量の違う3群(0.5, 1.0と20mg/kg)、プラセボ群に無作為に分けた。13週ごとに早計6回静脈内に注射した。試験開始時と第20週、45週と78週に11C-PiB PETスキャンを実施した。
 
 その結果、試験開始時に比べ78週目の11C-PiB量の平均貯留量は、プラセボ群よりBapineuzumab投与群で有意(約25%)に減少していた。またプラセボ群では11C-PiB貯留量が時間の経過とともに増加したのに対して、Bapineuzumab投与群では減少した。
 
 Rinne教授らは、アミロイドβと結合する放射性トレーサーの使用により、抗アミロイドβ薬がアミロイドβ沈着状況におよぼす影響をモニタリングすることが可能となる。この新技術を用いて特定の薬剤がアミロイドβの沈着量を減少させること、また沈着を阻害する能力をもつことを確認することで、これまでよりも直接的にアルツハイマー病のアミロイドβ仮説を検証することができると述べている。
 
 アルツハイマー病は、診断技術の進歩もあり、世界的に患者数は確実に増加傾向にあるが、病態の直接的な原因も正確には不詳であることから、的確な治療法も確立されていない。最終的には植物人間となり死の転帰をとる。アルツハイマー病の発症には、老人斑と呼ばれるアミロイドβタンパク質の脳内沈着が中心的な役割を果たしていると考えられているが、この物質を検出する方法が確立されていなかった。
 ところが神経画像処理技術11C-PiB PETスキャンを用いれば新規治療薬Bapineuzumabが患者脳内のアミロイドβ沈着を検出できそうで、アミロイドβ沈着量も減少させられる可能性が示唆された。今後の成果に期待したいものです。

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