545. イラクで乳がんが増加.5-20-10.
キーワード:乳ガン、都市部出身者、既婚者
近頃イラクでは乳ガが増加傾向にある。そこで乳ガンの発症機序の解明と罹患率の減少を目的に国家ガン研究プログラムがはじまった。プログラムを統括するバクダット大学国立乳ガン研究ユニットのNada A. S. Alwan博士が第二回米国ガン研究協会死海国際会議で同プログラムの初期データを公表した。
Alwan博士は、プロジェクトは、イラクで認められる主要なガンの危険因子について、総合的な疫学研究を行うことがおもな目的で、特に患者の居住地域ごとのガンの特徴と挙動に焦点を当てた研究を行うと述べた。
研究対象は、乳房のしこりを訴えた5,044例のうち、のちに乳ガンと診断された721例で、40~49歳の患者が全体の約30%を占め、都市部出身者が71.9%、既婚者が75%だった。授乳経験がある患者は63.1%、ホルモン療法を受けたことがある患者は29%、乳ガンの家族歴がある患者が16.2%であった。
自分でしこりを見つけた患者が90.6%だったが、一カ月以内に診察を受けたのは32%であつた。このため受診時に乳ガンはV期またはC期にまで進行した患者が47%に上った。
Alwan博士は、今回の研究からイラクでの乳ガン増加が閉経前女性の罹患増加と関連していることがわかった。この結果を他の中東諸国のデータと比較する必要があると述べた。
女性のガンとしては乳ガンと子宮頸部ガンが世界的に増加してきている傾向がうかがえる。但し、子宮頸部ガンは有効なワクチンが開発されているので、米国のようにワクチンを導入している国では、子宮頸部ガンの発症率は激減している。しかし、ワクチンはいまだ高価であるため、一部の地域又は国家ではあまり普及してない。原因がウイルスであると判明している疾患は、できるだけ予防に努めることが賢明と思われる。
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