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547. レオウイルスで前立腺ガンの治療
キーワード:腫瘍細胞溶解ウイルス、レオウイルス、前立腺ガン、臨床試験
 
カナダ・トムベーカーガンセンター医学腫瘍学のDon Morris博士らは、各種ガン細胞に溶解能をもつレオウイルスが前立腺ガンに対しても有効であることを確認したと発表した(Oncolytic Viral Therapy for Prostate Cancer: Efficacy of Reovirus as a Biological Therapeutic. Cancer Research 70: 2435-2444, 2010)。
 
レオウイルス3型
レオウイルスは、自然界に広く分布するウイルスで、ほとんどの人が曝露された経験を持ち、重篤な疾患を発症することはなく、軽度の呼吸器感染症を発症する程度である。
 
レオウイルスは、リンパ腫や卵巣ガン、乳ガン、膵ガン、神経膠腫など多くのガンにたいして腫瘍溶解能を示すことが知られている。前立腺ガンに対する効果は、これまでに調べられていない。今回の研究の成果は、レオウイルスによる治療は前立腺ガンに対する安全な治療法で、腫瘍細胞に対して特異的な作用をもつことが明らかにし。
 
ガン細胞にのみ作用
Morris博士らは、前臨床試験と臨床試験の双方において、前立腺ガンに対する実験的治療法としてのレオウイルスの有効性(生物学的治療剤としての可能性)を試験管内と生体で検討した。
 
臨床試験では、早期の限局性前立腺ガン患者6例を対象に、前立腺内の結節性病変に径直腸超音波ガイド下でウイルスを単回注入し、3ヶ月後に前立腺を摘出し、解析を行った。
 
その結果、安全性と有効性が確認された。またウイルスは正常な前立腺組織に影響することなく、前立腺ガン細胞のみを破壊した。ウイルスの副作用は、比較的穏やかで、軽度の流感様症状のみであった。
 
Morris博士は、今回の研究結果は、将来前立腺ガンの臨床試験において新たなガン治療法を検討する際の足がかりとなろうと述べている。
 
 
ヒトレオウイルスには1〜3型の3種類が知られている。1型は冬季流行の小児カゼ、2型は乳幼児下痢症、3型は熱性上気道炎から分離された。3型は向神経性で神経毒があり、腫瘍細胞溶解能があることが証明されている。レオウイルスの3型を用いた実験で、前立腺内の結節性病変に径直腸超音波ガイド下でウイルスを単回注入した。正常細胞には何ら悪影響を示さなかったが、ガン細胞ではウイルス構成タンパクの合成、細胞破壊作用、ウイルスの複製と細胞外放出などが観察されている。また不活化したウイルスでは何の効果も観察されなかったと述べている。しかしながら転移病巣に対する効果については触れられていない。

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