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558.西洋食とアデノウイルスが肥満の原因
キーワード:肥満、西洋食、糖質、繊維質、腸内細菌、アデノウイルス36型
 
肥満についての二つの報告の概要を紹介します。
一つは食事に含まれる繊維質の多少により腸内細菌が異なり肥満が高まる可能性についての論文です(Impact of diet in shaping gut microbiota revealed by a comparative study in children from Europe and rural Africa. PNAS 107 (33); 14691-14696, 2010)。
二つ目は、アデノウイルス36型の感染歴がある小児は肥満になりやすいとする論文ですAdenovirus 36 and obesity in children and adolescents. Pediatrics, 126;721-726,2010)。
 
※西洋食が肥満の原因
フィレンツェ大学小児科のPaolo Lionetti博士らは、アフリカの農村における小児の消化管に生息している腸内細菌とフィレンツェの小児の腸内細菌を比較したところ、アフリカ農村の小児では成人肥満に関連する微生物の割合が少なく、炎症を抑制することで知られている脂肪酸が極めて豊富であることが判ったとPNASに発表しました。
 
繊維質が少なく糖分の多い西洋食を摂取する小児では、繊維質が豊富な食事を摂る小児と異なる腸内細菌により、肥満やアレルギーのリスクが高まる可能性があるというのです。
 
 アフリカ人小児の食事は、農村が生まれて間もないころからの人類の食事に似ており、おもに穀類、豆類、野菜からなるが、イタリア人小児は肉、脂肪、糖を大量に摂っている。地理的に離れていても乳児期の消化管に生息している腸内細菌の構成は似ていることから、食事は人種、衛生設備、地理、気候などより、介入因子として優れているのかもしれないとLionetti博士らは述べています。
 
ヒトの腸内に生息する無数の微生物は、食物の消化を助け、病原体から防御し、炎症を抑えると考えられています。Lionetti博士らは、先進諸国で一般的な食事がある種の有用な微生物の枯渇を招き、ここ半世紀のアレルギー疾患や炎症性疾患の増加を潜在的にもたらしている可能性について指摘しているのです。
 
※アデノウイルス36型と肥満との関係
カリフォルニア大学サンディエゴ校のC. Gabbertらは、アデノウイルス36型の感染歴がある小児は肥満になりやすいとする内容の調査研究の成果を小児科学雑誌Pediatricsに発表しました。この研究グループは、血清中に検出される中和抗体を測定することでアデノウイルス36型に対する特異抗体と小児の肥満との関係を検討しました。対象は8から18才(中央値13・6才)の124例で、BMI95パーセントタイル未満を非肥満、95パーセントタイル以上を肥満としました。
 
その結果、67例(54%)が肥満、57例(46%)が非肥満に分類されました。アデノウイルス36型に対する抗体陽性は、19例(15%)で、大部分(19例中15例)が肥満でありました。アデノウイルス36型に対する抗体陽性率は、非肥満群の7%(4例)と比べ、肥満群では22%と優位に高かった。肥満群のアデノウイルス36型抗体陽性者は、体重、BMI、ウエスト周囲径、ウエスト・ヒップ比が有意に大きかったという。
 
 
日々とる食事を構成する栄養素の種類により難分解性の食物繊維の量やカロリーの多寡が異なり、その結果肥満との関係が生まれるのは理解しやすい。しかし、ウイルスのなかでアデノウイルス36型は肥満と関係がありそうだとの報告はこれまでも見聞きしてきた。この短い報告の結果からもアデノウイルス36型に感染したことのある小児に肥満が多いことが他のいくつかの因子との関係から論じられています。どうしてウイルスの感染が肥満と関係するのでしょうか。

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