564. パピローマウイルスと皮膚ガン
キーワード:ヒトパピローマウイルス、皮膚ガン、発症率、HPV免疫抗体、
ダートマス医科大学のMargaret R. Karagas教授の率いる国際研究チームは、β型のヒトパピローマウイルス(βHPV)感染は、皮膚ガンの発症リスクを高め免疫抑制剤を使用している場合は増悪要因になるとの研究成果を発表した(Genus β human papillomaviruses and incidence of basal cell and squamous cell carcinomas of skin: population based case-control study BMJ. 2010; 341: c2986)
基底細胞ガンと扁平上皮ガンのような最も一般的な皮膚ガンは世界的に増加しており、最大の危険因子は紫外線曝露とされている。さらにその発症にHPV感染がなんらかの役割を果たしている可能性がある。HPVの型は100種類以上存在し、いくつかの型のHPVは子宮頸部、外陰、膣、肛門や陰茎のガンを引き起こすことが知られている。
Karagas教授らはこれまでに、β型のヒトパピローマウイルス(βHPV)の感染者で皮膚ガンのリスクが上昇することを明らかにしており、特に臓器移植患者に
疣贅(ゆうぜい)や悪質性皮膚疾患を引き起こすまれな遺伝性疾患である疣贅状表皮発育異常症(EV)の患者ではリスクが増加することを報告している。
今回の調査研究では、一般人口におけるβHPVと一般的な皮膚ガンとの関連を示す成果を求めた。研究の対象者は、ニューハンプシャー州在住の扁平上皮ガン患者633例、基底細胞ガン患者898例、健康対照群2366例の計例であった。
被研者に面接を行うとともに、1993年7月〜1995年6月と1997年7月〜 2000年3月の2期間中に基底細胞ガンまたは扁平上皮ガンを新規に発症し、診断が確定した患者と、条件を一致させた対照住民に対して、血液サンプル中のHPV抗体を検査した。
その結果、基底細胞ガンは発症していない扁平上皮ガンを有する患者では、対照群に比べてβHPVに感染している率がはるかに高いことが示された。また感染しているHPVの型が多くなるにつれて、扁平上皮ガンの発症のリスクが高くなった。例えば、扁平上皮ガン患者では対照群に比べ、βHPVの2〜3種類の型に感染している率が1.4倍高く、8種類を超えるHPV型に向感染している率も1.7倍も高かった。またHPV感染と関連して、免疫抑制剤の長期使用者では扁平上皮ガンリスクが3倍超高いことが判明した。ただし、統計学的制度は高くなかった。
Karagas教授らは、このような皮膚ガンの発症が拡大し増加していることを考えれば、HPV感染の予防または治療を通して皮膚ガンによる症状の悪化や経済的な負担を減らせる可能性があることを今回の結果は示していると結論付けている。
一昔前の真夏は、太陽のもとで皮膚を焼いて黒く日焼けしているのが自慢で、日焼け薬も肌に塗って黒ンボ大会すら行われていました。ところが今現在になると紫外線曝露が皮膚ガンの一番の危険因子となっているようです。変われば変わるものと少し驚いています。紫外線以外に扁平上皮ガン患者では健康な対照群に比べ、βHPVの2〜3種類の型に感染している率が1.4倍高く、8種類を超えるHPV型に向感染している率も1.7倍も高い、またHPV感染と関連して、免疫抑制剤の長期使用者では扁平上皮ガンリスクが3倍超高いことが判明したという。βHPV感染はなにが危険で、どのようにすれば防げるのかも合わせて教えて貰いたいと思いました。
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