◆フィコビリン [Phycobilin]

 藍藻(藍菌)、紅藻およびクリプト藻類に含まれる光合成色素タンパク質の色素部分である。赤紫色のフィコウロビリン、フィコエリトロビン、青色のフィコシアノビリンの3種が知られている。それぞれはタンパク質と結合した結果、はじめの二つの色素はフィコエリトリンに、三番目の色素はフィコシアニンとアロフィコシアニンを形成する。藍藻と紅藻ではこれら3種のフィコビリンタンパク質がさらに集合して、フィコビリゾーム(phycobilisome)とよばれるアンテナのような巨大分子を形成する。フィコビリゾームは光合成の場であるチラコイド(thylakoid)膜に規則正しく配列され、吸収した光励起エネルギーを光化学反応中心IIへ引渡し、光合成反応の補助を行っている。ただし、クリプト藻類ではフィコビリゾームは形成されず、フィコビリンは葉緑体のチラコイド内に遊離した形で存在すると考えられている。

関連 紅藻・藍藻の色素
関連 藍藻
関連 藍菌
関連 クリプト藻類
関連 光合成色素
関連 タンパク質